• FOMCが0.25ポイント利上げ、印アダニが公募増資取りやめ
  • 米労働市場、OPECプラス据え置き、CLOのクジラ復活か
ブレイナードFRB理事(2021年11月当時、現在は副議長、写真左)とパウエルFRB議長(右) Photographer: Samuel Corum/Bloomberg

米連邦準備制度理事会(FRB)でハト派の代表格とされるブレイナード副議長。同氏が国家経済会議(NEC)次期委員長の最有力候補になっているとのニュースが飛び込んできたのは一週間前です。今回の連邦公開市場委員会(FOMC)が同氏にとって最後になる可能性はゼロではありません。NEC委員長は2024年の大統領選挙を視野に、連邦債務の法定上限引き上げや予想される景気後退への対策といった、バイデン政権の経済・財政政策を策定する重要な役割を担います。ブレイナード氏がNECに転じれば、FRBは利上げ路線の終点をにらみながら景気のソフトランディング(軟着陸)を目指す微妙な局面で、しばらくは欠員を我慢しなくてはなりません。

0.25ポイント

FOMCは主要政策金利を0.25ポイント引き上げることを決めた。一方、今後さらに複数回の利上げが適切になるとの認識も示した。フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジは4.5-4.75%となった。パウエルFRB議長は記者会見で、景気抑制的な政策を「しばらく」続ける必要があると発言。景気抑制水準まであと2回ほどの利上げをFOMCが検討していると述べた。ただ、予測通りの経済動向であれば、23年中の利下げは想定していないとも話した。

一転

インドの資産家ゴータム・アダニ氏率いるグループの中核企業アダニ・エンタープライゼスは、前日に募集を終了した2000億ルピー(約3160億円)に上る大規模な公募増資を中止すると決定。機関投資家などからの応募は募集額の100%に達していた。同社は返金手続きを幹事社などと作業する。米空売り投資家ヒンデンブルグ・リサーチのリポートをきっかけに、同グループ企業の株価は急落。1日の市場ではアダニ氏傘下企業の株価は全て下落。クレディ・スイスがアダニ・グループ傘下企業の社債を顧客のマージンローン担保として受け入れることを停止したと明らかになり、下げが加速していた。

労働市場

昨年12月の米求人件数は1101万件と、予想に反して増加。5カ月ぶりの高水準となった。米金融当局がインフレを抑制する上で大きな障害の一つと見なす労働市場で、需要がなお力強いことを示唆した。失業者1人に対する求人件数は1.9件と、過去最高近くとなった。別の統計によると、1月の米民間雇用者数は10万6000人増加。予想を下回り、過去2年で最低の伸びとなった。広範な地域での悪天候が響いたとみられる。

据え置き

石油輸出国機構(OPEC)と非加盟の主要産油国で構成する「OPECプラス」の共同閣僚監視委員会(JMMC)は、現行生産水準の維持を勧告した。複数の参加国代表が明らかにした。市場でも現行生産水準の維持が広く予想されていた。OPECプラスは昨年、日量200万バレルの生産枠削減を発表している。原油市場は中国での需要ならびにロシアからの供給について、状況が明確になるのを待っている状況だ。

再開

農林中央金庫は米欧のレバレッジドローンをパッケージ化したローン担保証券(CLO)の購入の再開を計画している。一時は世界最大級のCLOの買い手だった同行は昨年、英国の年金基金がCLOを含む保有資産を投げ売りした時に購入を停止していた。関係者によると、農林中金はCLOを組成するマネーマネジャーと協議しており、数カ月内の購入再開を考えているという。最近数週間にはJPモルガン・チェースなど複数の米銀がCLO購入を再開。需要回復で今年これまでの米CLO発行は64億7000万ドル(約8400億円)と前年同期の49億ドルを上回っている。

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