首相官邸

 政府が今国会に提出する健康保険法などの改正案の全容が判明した。出産時に公的医療保険から支払われる「出産育児一時金」を50万円に増額するための財源確保や、現役世代の負担軽減のために後期高齢者医療制度を見直すことが柱だ。患者に身近な「かかりつけ医」の機能強化も盛り込む。政府は近く閣議決定する。首相官邸

 出産育児一時金は、今年4月に42万円から50万円に引き上げる。法改正では、75歳以上が加入する後期高齢者医療制度から費用の一部をまわす仕組みを2024年4月から導入する。一時金の7%を同制度が負担。24、25年度は激変緩和措置で負担額は半額となる。

 一時金増額を含めた後期高齢者医療制度の見直しに伴い、保険料は増額されるが、対象は年金収入が153万円を超える約4割。増額は段階的に行われ、24年度は211万円を超える人、25年度は153万円を超える人が対象となる。仮に年収400万円なら、年1万4000円の増額となる。

 「かかりつけ医」機能の段階的強化も盛り込まれた。在宅医療の提供など、かかりつけ医機能を果たしているかどうかについて、医療機関から都道府県に報告させる。都道府県は報告内容を確認し、市町村などと情報を共有する。

◆健康保険法などの改正案のポイント

▽50万円に引き上げる出産育児一時金の費用の一部を後期高齢者医療制度で負担

▽後期高齢者の保険料負担率を見直し

▽前期高齢者の医療費を賄うための納付金の算定方法を見直し

▽「かかりつけ医」の機能強化