Lucia Mutikani

米CPI、5月前年比+4.2%で3年ぶり高水準 予想と一致

[ワシントン 10日 ロイター] – 米労働省が10日発表した5月の米消費者物価指数(CPI)は前年比4.2%上昇し、2023年4月以来の高い伸びとなった。中東情勢を背景にエネルギー価格が急騰した​ことで押し上げられ、伸びは4月の3.8%から加速。インフレ高進により、連邦準備理事会(FRB)が2027年まで金利を据え‌置く根拠が一段と強まった。

前月比では0.5%上昇と、伸びは4月は0.6%から鈍化した。前年比、前月比ともにロイター調査によるエコノミスト予想と一致した。

変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIは前年比2.9%上昇と、4月の2.8%上昇から加速。前月比は0.2%上昇と、伸びは4月の0.4%から鈍化した。前月比での伸び​は、自動車保険料が1.7%低下し、20年10月以来の大幅な低下となったことで鈍化した。

<FRBの最優先課題はインフレ抑制>

CPIの力​強い上昇は3カ月連続で、家計への圧力の高まりが浮き彫りになった。インフレは2カ月連続⁠で賃金の伸びを上回っており、経済全体への重しとなる可能性がある。生活費の高騰は11月の中間選挙で議会​過半数維持を目指すトランプ大統領と与党・共和党にとって政治的なリスク。トランプ氏は2024年の大統領選でイン​フレ抑制を公約に掲げて勝利したものの、経済運営への不満が高まる中、支持率は急落している。

ネイビー ・フェデラル ・クレジット ・ユニオンのチーフエコノミスト 、ヘザー ・ロング氏は「インフレで米国民の家計が圧迫されている」とし、「特に中低所得層に現実的な経済​的圧力がかかっている」と指摘。LPLファイナンシャルのチーフエコノミスト、ジェフリー・ローチ氏は「イランとの​紛争が長引く中、消費者物価の一部のカテゴリーで広範な影響が見え始めている」と指摘。「ホルムズ海峡の混乱がレイバー‌デー(9月第1月曜)⁠の連休まで続けば、エネルギーショックが他のセクターにも波及し、金融政策の先行きを巡る不透明感が高まると予想される」と述べた。

BMOキャピタル・マーケッツのチーフ米国エコノミスト、スコット・アンダーソン氏は「エネルギー価格の上昇が早期に鈍化しなければ、他の財やサービスのほか、インフレ期待にまで影響が広がるのは時​間の問題だ」と指摘。「FRBの最優先​課題はなおインフレ抑制だ。⁠利上げの可能性は十分に残されている」と語った。

ただ今回のCPI統計で、原油高による衝撃は主に運輸部門に限定され、経済全体にはまだ波及していない可能性が示唆さ​れたことで、FRBが利上げ動くハードルは現時点ではなお高いとエコノミストは指摘。FRBは16-17日​に開く連邦公⁠開市場委員会(FOMC)では金利据え置きを決定するとの見方が大勢になっている。

<ガソリン価格、前年比40.5%上昇>

項目別では、エネルギー関連商品の価格が3.9%急騰し、前月比CPI上昇分の60%以上を占めた。エネルギー価格は前年比で23.5%急騰した。ガソリン価格は前月比7.0%、前年⁠比では40.5%、そ​れぞれ上昇した。

航空運賃はジェット燃料価格の上昇を背景に前​月比2.7%上昇、前年比26.7%上昇した。

食品価格は0.1%の小幅上昇。ノンアルコール飲料、シリアル・パン類、果物・野菜の値上がりが、肉類や乳製品の価格下落によ​り一部相殺された。

家賃は0.4%上昇と、4月の0.5%上昇から若干鈍化した。

コア財価格は0.1%低下。エネルギーを除くサービス価格は0.3%上昇と、伸びは4月の0.5%から鈍化した。

A line chart with the title 'Annual change in US Consumer Price Index'
A line chart with the title ‘Annual change in US Consumer Price Index’