高市政権の支援部隊である「責任ある積極財政を推進する議員連盟」(中村裕之共同代表、会員152名)は9日、「『骨太の方針2026』に向けての提言」をまとめました。システム改修の遅れを理由に「税率1%案」が浮上する中、これに対抗する形で、自民党の選挙公約である「消費税ゼロ%」の実現を若手国会議員らが強く主張しています。
公約を実現するのは当然
自民党は先の衆議院選挙において「ゼロ税率」を掲げ、歴史的な大勝利を収めました。選挙公約の筆頭に掲げられたこの約束は、政治家にとって有権者に対する最も重要な「義務」です。税制というテーマは、国民のために働く政治家にとって、自らの政治姿勢を有権者に示す最重要事項でもあります。
総選挙の勝利を受け、高市早苗首相はこの問題を議論するために、与野党の国会議員で構成する「国民会議」(座長:小野寺五典・自民党税制調査会長)を設置しました。事務局は財務省が担っており、当初から積極財政派と健全財政派の対決の場になると目されていました。現在、この会議において飲食料品の消費税率を公約の「ゼロ%」ではなく「1%」とする案が急浮上しています。
与野党の幹部が議論している以上、ここで決まった方針が法案に盛り込まれる可能性は高いでしょう。とはいえ、最終決定権者は、国民会議に諮問した高市首相です。情勢は首相にとって不利に動いているとの見方もあり、巷では「1%なら財務省の勝利、ゼロ%に決まれば高市首相の勝ち」といった噂がまことしやかに囁かれています。
国民会議を動かす財務省
永田町のこうした空気感に抗うように、議員連盟が「ゼロ税率」の維持を提言したことは大きな驚きを持って受け止められています。同議連は元来、高市首相に近い存在です。今回の提言にあたって首相官邸との連携があったと見ても、あながち間違いではないでしょう。個人的には、この動きによって最終的に首相が「ゼロ税率」を選択するのではないかと感じています。
「国民会議」は一体、何を議論しているのでしょうか。「1%案」の急浮上から見えてくるのは、この会議が国民ではなく企業の都合を優先しているという現実です。会議が実施した企業へのヒアリングで、スーパーなどの大企業担当者は「税率をゼロにするとシステム改修に時間がかかる」と主張しました。
仮にその主張が事実だとしても、税率設定とシステム改修の問題は本来切り離して考えるべきです。「時間がかかるから、より短期間で対応可能な1%にする」という理屈は筋が通りません。国民会議(実態は財務省と推測されますが)は、国民生活を最優先して税率を決めるべきではないでしょうか。
税率「1%案」に隠された失政
高市首相が指導力を発揮し、消費税ゼロを断行したとして、スーパーなどが困窮するでしょうか。おそらく大企業は実施時期に合わせて徹夜でシステム改修を完遂するはずです。それができなければ競合他社に遅れをとるだけのこと。仮に「システム改修が間に合わないので1%徴収します」と言うスーパーがあれば、消費者から見向きもされなくなるでしょう。
1%説を主張する国会議員や財務省は、市場経済の実態を理解していません。自民党の宮沢洋一・元税制調査会長なども同様で、常に「財源は」と問い、財務省の代弁者であることを隠しませんでした。国民会議の座長を務める小野寺氏も、同じ類いの政治家と言わざるを得ません。
問題の本質は、永田町が国民生活を優先していないことにあります。当選3回以下の若手議員で構成される当該議員連盟が、永田町の毒に染まっていないことが今回の提言で証明されました。彼らの提言には「我が国は今、戦後最大級の国家的転換点にある」という強い自覚がうかがえます。
提言にはこうあります
「必要なのは、野放図な財政の拡張でも、単純な緊縮でもない。危機管理投資・成長投資を十分な規模と期間で実施し、民間投資を誘発し、供給力を強化し、賃金・所得・税収を拡大しながら、財政の持続可能性と市場の信任が両立する、新たな経済財政運営モデルを構築することが急務である」
財務省は歴史的な「失政」を犯そうとしています。「0%か1%か」という数値の問題以上に、国民を軽視して企業を優先する姿勢こそが、健全財政の名の下にさらけ出された最大の問題です。エリート官僚主導の国家運営がいかに国民の感覚と乖離しているのか。与野党幹部の足並みもまた、その現状を国民に突きつけています。