アンスティー・クリストファー

  • インフレ鈍化に寄与した多くの要素が反転する可能性-サマーズ氏
  • インフレは依然、2年前なら「想像できなかった」水準
Larry Summers, president emeritus and professor at Harvard University. Photographer: Stefan Wermuth/Bloomberg

サマーズ元米財務長官は10日、インフレに関する気の緩みが金融市場で広がりつつあるとし、投資家が現在想定している以上の金融引き締めが必要になるかもしれないと警告した。

  サマーズ氏は「波乱となりそうな局面に向かっている」とブルームバーグテレビジョンで発言。「市場が今予想している以上の利上げを伴わずに、2%のインフレに戻る軌道に乗っているという確信は私にはない」と述べた。

  同氏はインフレ抑制に寄与してきた多くの要素が反転する可能性を挙げた。一つは中古車価格で、自動車オークションを手がけるマンハイムのデータによれば、1月の米中古車平均価格は前月比で2.5%上昇した。ガソリン価格も今年に入って上昇している。

突然跳ね上がった米中古車価格、FRBのインフレ鎮圧戦略に誤算か

  「さまざまな要素が反転するだろう」とサマーズ氏は予測。全体的なインフレに関しては、この先は「一段の鈍化という進展は難しくなる」と語った。同氏はハーバード大学の教授でブルームバーグテレビジョンの寄稿者でもある。

  「インフレに関するコンセンサスはあまりにも気の緩んだ状態になっている」とし、物価上昇率はまだ「2年前であれば想像できなかった水準だ」と続けた。

マンハイムの中古車バリュー指数出所:マンハイム

原題:Summers Sees ‘Turbulent’ Time, Warns on Inflation Complacency(抜粋)