[東京 13日 ロイター] – トヨタ自動車の佐藤恒治次期社長は13日、4月からの新体制で注力するテーマと役員人事に関する会見を開いた。電気自動車(EV)は従来と異なるアプローチで開発を加速し、2026年を目標にEVに最も適した電池やプラットフォーム(車台)などを追求した次世代車を高級車ブランド「レクサス」で開発すると明らかにした。EVの新たな計画も4月頃に発表する。

佐藤氏は新体制で、豊田章男社長が土台をつくった「商品と地域を軸にした経営」を継承し、「モビリティカンパニーへの変革」を目指すと強調。車の電動化・知能化・多様化に向け重点事業として、1)次世代EVを起点とした事業改革、2)実証都市ウーブン・シティの取り組み強化、3)アジアのカーボンニュートラル実現の3点を挙げた。

佐藤氏は、EV最優先の発想で「ものづくりから販売・サービスまで事業のあり方を大きく変えていく必要がある。その変革をリードするのがレクサスだ」と指摘。ただし、EVに「急速に舵を切るということではない」と説明。脱炭素化の方法はEVに絞るのではなく、地域の事情などによりハイブリッド車や燃料電池車など多様な手段で対応する従来からの方針に変わりないとした。

21年12月に掲げたEVの目標である「30年までにトヨタ全体の世界販売350万台、レクサスだけで100万台」については、「考え方は何も変わっていない」とも説明。トヨタブランドのEV戦略は、レクサスでまずEVのイメージをしっかりとつくり、「小さい単位(の台数)で実践し、その中から学びをアジャイル(俊敏)に生かしていく」と語った。

EVへの取り組みが他社に比べ遅れているという指摘に対しては「コミュニケーションの問題だと思う」との見解を示し、自身が担当していたレクサスの開発現場では「かなり深く議論を続けていた」と述べた。

役員人事は、4月1日付で商用車を統括する中嶋裕樹氏、事業・販売担当の宮崎洋一氏が副社長に昇格する。近健太氏、前田昌彦氏、桑田正規氏の副社長3人は副社長職を退任する。近氏はウーブン・シティを手掛ける事業会社専任の代表取締役と最高財務責任者(CFO)を務める予定で、前田氏はアジア本部長としてアジア地域戦略を、桑田氏はレクサスの「35年に100%EV化」に向けた事業戦略を主導する。