Jane Zhang

  • アリババADR、米市場で14%高で終了-創業以降で最大の改革
  • 中国当局の政策方向性に沿った措置、業界の青写真にも-BI
Signage at the Alibaba Group Holding Ltd. offices in Beijing, China, on Tuesday, Jan. 17, 2023. Bloomberg

中国のアリババグループの米国預託証券(ADR)は28日の米株式市場で14.3%高と急騰した。2200億ドル(約29兆円)規模の同社事業を電子商取引やメディア、クラウドなど6つの主要部門に分割する計画を発表したのが好感された。各部門は適切な時期に資金調達や新規株式公開(IPO)を検討する。

  この分割はアリババにとって20年余り前の創業以降で最大規模の改革となる。分割によって各部門の独立性は大きく高まり、将来のスピンオフやIPOに道が開かれる。

  中国の大手テクノロジー企業が持ち株会社制に移行するのはまれだが、他社へのモデルとなる可能性がある。中国政府はアリババや「微信(ウィーチャット)」を運営するテンセント・ホールディングス(騰訊)などオンラインプラットフォームの影響力を批判し、テクノロジー業界全体に対する締め付けを強化した。アリババの事業と意思決定の分散は、締め付けの背後にある当局の主要目標の一つに対処するものだ。

  ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のアナリスト、マービン・チェン氏はアリババの分割について、「テクノロジー巨大企業の独占的性質を切り崩そうとする中国の政策の方向性に沿った措置」だと指摘。「中国テクノロジー企業のスピンオフは珍しいことではないが、アリババの動きは中核事業も含み、より包括的な様相だ。業界全体の将来にとっての青写真になる可能性がある」と述べた。

  アリババの発表は、1年余り国外で過ごしていた共同創業者で富豪の馬雲(ジャック・マー)氏の帰国と時期を同じくした。

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  アリババは張勇(ダニエル・チャン)最高経営責任者(CEO)がクラウドインテリジェンス部門を率いるとしており、長期的に同社のポートフォリオにおいて人工知能(AI)の役割が大きくなることを示唆している。

Source: Bloomberg

  このほか国際コマース事業の責任者である蒋凡(ジアン・ファン)氏がグローバル・デジタル・ビジネス事業を率い、淘宝(タオバオ)や天猫(Tモール)などオンラインショッピング部門はベテラン幹部の戴珊(トゥルーディー・ダイ)氏がトップとなる。残る部門は食事宅配などの中国国内サービス、物流会社の菜鳥とデジタルメディア・娯楽事業。

  「市場は最高の試金石だ。各事業グループは準備が整えば、独自に資金調達やIPOを目指すことができる」と張CEOは発表資料でコメントした。

  28日のニューヨーク市場でアリババのADRは98.40ドルで終了。テンセントのADRは8.03%高。中国のインターネット検索エンジン最大手、百度(バイドゥ)のADRは4.7%高。  

原題:Alibaba Splits Into Six, Plans New IPOs in Historic Overhaul (1)
Alibaba Shares Soar After Historic Overhaul Heralds IPO Wave (2)(抜粋)

関連情報

▽アリババグループ、事業6分割へ それぞれIPO検討も<ロイター日本語版>2023年3月28日7:05 午後

[28日 ロイター] – 中国電子商取引大手アリババ・グループ・ホールディングは28日、事業を電子商取引、メディア、クラウドなど6つに分割する方針を明らかにした。それぞれが資金調達や新規株式公開(IPO)を検討する。

アリババの米国上場株は寄り付き前の時間外取引で一時8%上昇した。アリババ株は、2020年末に当局が統制を強化し始めてから約70%下落している。

6部門は

(1)クラウド・インテリジェンス・グループ
(2)タオバオ・天猫コマース・グループ
(3)ローカル・サービス・グループ
(4)ツァイニャオ・スマート・ロジスティクス・グループ
(5)グローバル・デジタル・コマース・グループ
(6)デジタル・メディア・アンド・エンターテインメント・グループ

各部門に最高経営責任者(CEO)と取締役会を置き、外部資本を調達したり、新規株式公開を目指したりする柔軟性が維持される。ただ、タオバオ・天猫コマース・グループはアリババ・グループの完全所有部門として存続する。

アリババ・グループは持ち株会社の経営モデルを採用する。グループ会長兼CEOは引き続き張勇(ダニエル・チャン)氏が務める。チャン氏はクラウド・インテリジェンス・グループのCEOを兼務する。

ロイターが入手した従業員宛ての書簡で張氏は「今回の改革の本質的な意図と基本的な目的は、組織を一段と機敏にし、意思決定を迅速化し、素早く対応できるようにすることだ」とし、各事業グループは市場の急速な変化に積極的に取り組む必要があり、アリババの従業員は各自が「起業家の発想」を持たなければならないと述べた。

このほか、ミドルオフィスとバックオフィスの機能を「軽量、薄型化」するとも表明。ただ、人員削減の詳細は明らかにしなかった。

アリババの今回の発表は、同社の24年の歴史の中で最大の組織再編。1年以上にわたって海外に滞在していた創業者の馬雲(ジャック・マー)氏が中国に帰国した翌日に発表された。

証券会社エクイティ・キャピタルのマクロエコノミスト、ステュアート・コール氏は「馬氏の帰国のタイミングに合わせこうした再編が発表されるのは、偶然の一致のように見える。アリババは以前からこうした再編を実施したいと考え、その機会を待っていたように見える」と指摘。今回発表された再編で「巨大な存在であるアリババは、柔軟性と適応性を得ることになる」と述べた。