中国の電子商取引大手アリババ・グループ・ホールディングは28日、同社の事業を電子商取引、メディア、クラウドなど6つの事業分野に分割すると発表した。それぞれが資金調達や新規株式公開(IPO)を検討する。ロイターが同日の夕方報道した。これを受けてアリババの米国上場株は寄り付き前の時間外取引で一時8%上昇した。アリババ株は、2020年末に当局が統制を強化し始めてから約70%下落していた。この発表の前日、海外に滞在していたジャック・マー氏が中国に帰国したと報じられている。マー氏の帰国と今回の事業分割は関連があるのか。アリババの共同創業者でもあるマー氏、傘下のフィンテック企業アント・グループの上場を巡って上海でスピーチした際、中国当局を批判。それを機に習近平主席とマー氏の関係が悪化したといわれている。同氏はその後公の場に姿を現すことはほとんどなくなっていた。アントの経営からも手を引いていた。

ロイターによると、マー氏の帰国を記事(27日付)にしたのは香港英字紙サウス・チャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)。この新聞の所有者はアリババ。マー氏の動静を正確に把握している可能性がある。記事によるとマー氏は自らが創設した杭州市の学校「杭州雲谷学校」を訪問したとしている。そこで教育や人工知能(AI)の対話ソフト「チャットGPT」技術について話し合ったとされ、「(同氏は)またいつか教職に戻りたい」と語ったと伝えられている。教師をしていたマー氏の帰国にぴったりの背景説明である。まるでアリババの事業分割とは無関係であることを強調しているかのようだ。習主席に遠ざけられて海外に滞在していたも触れられていない。ましてやアリババの事業分割との関係を示唆するものは何もない。にもかかわらずだ、3期目に突入した習政権との関係改善の兆しではないか、邪念が頭をよぎる。

中国当局は最近、民間企業に対する取り締まりを緩和し、支援する意向を示している。だがネット業界の雄ともいいうべきアリババの創業者が海外に留まっている限り、世界の投資家や起業家の信頼を得ることは難しい。そこで登場するのが首相に就任したばかりの李強氏だ。この記事によると「李強首相はこうした状況を認識しており、昨年末からマー氏に帰国を要請していたと5人の関係者がロイターに明らかにした」とある。習主席が追い出したジャック・マー氏の復権を李強首相が後押しする。中央政界での経験がなく、習氏の腰巾着と見られていた李氏。ゼロコロナ政策の撤廃で渋る主席を押し切った手腕は尋常ではなかった。この人じゃ意外に剛腕かもしれない。その李首相がネットビジネスの復権を主導する。以上は単なる邪推だが、ジャック・マー氏の復権があるとすれば、この先の中国は意外に面白いかも・・・。