
[ワシントン 2日 ロイター] – 米労働省が2日発表した4月の雇用動態調査(JOLTS)によると、求人件数は前月から73万1000件増の761万8000件と、2024年5月以来の高水準となった。ロイターがまとめたエコノミスト予想は688万件だった。
求人率は4.6%と、3月の4.2%から上昇した。
一方、採用件数は41万9000件減の511万6000件となり、経済の先行き不透明感がなお残る中で採用が抑制された可能性を示した。
採用率は3.2%と、3月の3.5%から低下した。解雇件数は19万2000件減の169万2000件。解雇率は1.1%と、前月の1.2%から低下した。
今回の統計は、求人が予想以上に増加し解雇も減少した一方、採用は減少しており、労働需要は底堅いものの企業が新規採用には慎重な姿勢を維持していることを示唆している。
エコノミストらは、労働市場が「低採用・低解雇」の状態で停滞しているとし、3カ月に及ぶ対イラン戦争による下振れリスクへの警戒感を改めて示した。オックスフォード・エコノミクスの米国担当シニアエコノミスト、マシュー・マーティン氏は「労働市場は概ね安定を維持している」とした上で、「イラン戦争の具体的な終結が見通せない中、原油価格の上昇は実質所得を圧迫し、総需要を減少させる。不確実性の高まりと相まって、企業は採用意欲を一段と後退させる可能性が高い」と述べた。
求人件数は、専門・ビジネスサービスが66万8000件増加し、増加分のうち、約91%を占めた。パンテオン ・マクロエコノミクスのチーフエコノミスト 、サミュエル ・トムズ氏 は、「同セクターの求人数は、過去数カ月間に急減していたが、より多くのデータの収集が進むにつれてその減少幅は上方修正された」と指摘。「4月の求人件数の大幅増も同じく見せかけに終わる可能性が十分にある」と述べた。
医療・社会福祉の分野では8万9000件増加。建設・製造、運輸・倉庫・公益事業や州政府 ・地方 自治体でも増えた。一方、金融セクターでは13万4000件減少し、全て金融・保険業が占めた。宿泊・飲食サービス部門は7万4000件、小売は4万3000件、それぞれ減少した。
自発的離職は18万3000件減の297万7000件と、新型コロナウイルスのパンデミック中の2020年8月以来の低水準となった。離職率は1.9%と、3月の2.0%から低下した。
3カ月に及ぶ米イスラエルによる対イラン戦争は、4月時点のJOLTS統計には目立った悪影響として表れていない。
労働市場が安定していれば、米連邦準備理事会(FRB)が中東紛争に伴うインフレへの影響を見極めつつ、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を来年にかけて3.50─3.75%に据え置くとの金融市場の見方を裏付けることになる。
