▽スーダン退避本格化、邦人45人出国 破壊的な大惨事リスクと国連事務総長<ロイター日本語版>2023年4月25日2:31 午前

[ハルツーム/ワシントン/東京/ベルリン 24日 ロイター] – 戦闘が続くアフリカ北東部スーダンで24日、日本や欧州、アジア、アラブ諸国の各国政府による自国民の退避に向けた動きが本格化した。15日に始まった正規軍と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」の戦闘ではこれまでに少なくとも427人が死亡したとみられる。国連のグテレス事務総長は「破壊的な大惨事」を招くリスクに警鐘を鳴らし、和平実現に向け最大限の圧力をかけるよう安全保障理事会に呼びかけた。

戦闘が週末に小康状態となったことを機に、各国は自国民の退避を急ぎ、外交官や援助関係者、その家族を乗せた約65台の車列が35時間をかけ、首都ハルツームから紅海に面するポートスーダンに向かった。近隣国ジブチからハルツームに派遣された軍用機によって退避するケースも見られた。

米政府は23日、ハルツームから大使館職員を米軍のヘリコプターで退避させた。

岸田文雄首相は24日夜、戦闘が続くスーダンから日本人とその家族45人が自衛隊機によって退避したことを明らかにした。数人の退避希望者がスーダンに残っており、岸田首相は「引き続き関係各国とも緊密に連絡をしつつ、早期の退避に全力を挙げて対応する」と語った。

フランス外務省は24日、仏国民196人や36カ国の外国人を含む計491人の避難を手配したと発表。さらなる退避者の受け入れを支援するため、仏軍艦がポートスーダンに向かっていると明らかにした。

ドイツは、空軍4機によって400人超を出国させたと発表。ベアボック外相によると、独国民のほか、ベルギーや英国、オランダ、ヨルダン、米国の国民が含まれるという。

韓国大統領府は、韓国の軍用機によってスーダンから国民28人と複数の日本人が避難したと発表した。

イタリアやスペインも輸送機で自国民を退避させた。インドネシア当局によると、これまでに500人超の自国民が港湾都市に移動し、船でサウジアラビアに退避する計画という。

中国のほか、デンマーク、レバノン、オランダ、スイス、スウェーデンも自国民を避難させたと発表。アラブ湾岸諸国やロシアなども自国民の退避を急いでいる。

また、避難民が隣国に流出する動きも加速しており、これまでに隣国のチャドには約2万人、南スーダンには1万人が避難したという。

グテレス国連事務総長は、スーダンでの暴力が「スーダン国内で破滅的な大惨事を引き起こし、地域全体やそれ以外の地域を巻き込むリスクがある」と警告し、安全保障理事会の15カ国に対し最大限の影響力を発揮するよう呼びかけた。

国連安保理は25日、スーダン情勢を巡る協議を開催する。

ブリンケン米国務長官は、米当局が停戦の「延長および拡大」に向け、スーダンの正規軍トップのブルハン将軍およびRSFトップのダガロ将軍と直接連絡を取り合っていると明かした。さらに「スーダンでの外交活動を再開するために、どのような選択肢があるか検討している」としつつも、「状況は非常に厳しい」と述べた。

サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は、正規軍とRSF双方に即時停戦を呼びかけた。

またイスラエルは、同国政府高官によるここ数日の調停努力による「非常に有望な」進展を受け、対立するスーダンの指導者双方による停戦協議を主催することを提案した。

戦闘の激化を受け、米国のほか、カナダ、フランス、ポーランド、スイスなどはスーダンの大使館業務を停止。フィンランドのハービスト外相は、西側諸国がスーダンとの外交的な関与を断つことで、ロシアがスーダンでより大きな影響力を持つことになりかねないと警告した。

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