▽安倍派5人衆ら立件見送り、検察は批判も意識 幹部「冷静な判断だ」<朝日新聞デジタル>2024年1月19日 20時35分

 政権や自民党を大きく揺るがした派閥の政治資金パーティーをめぐる捜査が19日、事実上終結した。「組織的な裏金システム」に対して厳罰を求める国民感情が高まる中、幹部議員らは刑事処分を免れた。検察は立件基準をどこに置き、何が壁になったのか――。(川嶋かえ、植松敬、横山輝、藤牧幸一)

幹部らは不記載の認識を否定

 「現時点で処理すべきものは処理した。起訴すべきものは発表した通り。捜査を尽くして判断した」。東京地検の新河隆志次席検事は刑事処分を出したこの日、臨時会見を開いてこう述べた。

 検察が特に悪質とみて調べたのが最大派閥の安倍派だった。複数の関係者によると、パーティー券の販売ノルマ超過分を議員側に裏金として「還流」する仕組みが20年前には構築されていた。派閥の政治資金収支報告書には収入にも支出にも記載しない運用で、慣習として続く「組織犯罪」の色合いが濃かった。

 議員側がノルマ超過分を派閥に納めずに「中抜き」して裏金化するパターンもあった。特捜部は、還流の手順を省いた手法として派閥内で周知されており、こちらも派閥の収支に記載すべきだと判断。還流・中抜きを合わせ、時効にかからない2018~22年の5年間で不記載額は、収支を合算すると約13億5千万円まで積み上がった。

 政治資金規正法は収支報告書の作成・提出義務を会計責任者に課す。安倍派で事務局長を務める会計責任者は早くから聴取に不記載の違法性を認め、在宅起訴が既定路線となった。

 その上で焦点は幹部議員の共謀の有無だった。特捜部は派閥事務所を捜索したほか、実務を取り仕切る事務総長経験者や実力者「5人衆」らを複数回聴取した。

 特に注目したのが22年のパ…

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