▽安倍派幹部の説明「不十分」 自民、離党求める声も<時事ドットコム>2024年01月25日07時06分

衆院予算委員会の閉会中審査に臨む岸田文雄首相=24日、国会内
衆院予算委員会の閉会中審査に臨む岸田文雄首相=24日、国会内

 自民党安倍派の政治資金パーティー収入裏金化事件で、同派幹部らに説明責任を果たすよう要求する声が党内で強まっている。いったん廃止を決めたキックバック(還流)再開の経緯などを明らかにしないためだ。離党を求める声も出ている。

安倍派幹部に政治責任要求 規正法違反事件で自民幹事長

 「説明責任は果たしてもらう」。自民の茂木敏充幹事長は24日、公明党の石井啓一幹事長と東京都内で会談し、東京地検特捜部が立件を見送った安倍派幹部らを念頭にこう語った。

 特捜部が事件の処分を発表して以降、安倍派幹部のうち塩谷立・元文部科学相ら5人はそれぞれ記者会見に応じたが、説明を尽くしたとは言い難い。松野博一前官房長官と下村博文元政調会長は会見すら開いていない。

 安倍派は2022年、還流廃止を決めながら、会長だった安倍晋三元首相の死後に方針を撤回。その経緯は同派幹部の責任を問うカギとみられたが、同年8月まで事務総長だった西村康稔前経済産業相は「(生前の)安倍氏から還付をやめようと話を聞いた」と証言しつつ「これ以上は刑事裁判に関わる」と沈黙。事務総長を引き継いだ高木毅前国対委員長は「関わっていない」と言い切った。

 還流がいつ誰の発案で始まったのかも謎のまま。萩生田光一前政調会長は「(03年の)初当選後に事務局からノルマ超過分は戻すと話があった」と20年超の慣行だと説明。しかし、塩谷氏は「全く分からない」「会長と事務局長が話してきたのだろう」と明確な説明を避けた。

 各議員の事務所での政治資金収支報告書不記載に関しては「秘書に任せきりだった」(世耕弘成前参院幹事長)などと責任逃れが目立つ。

 自民が22、23両日に開いた政治刷新本部の会合では「説明すべき人が説明していない」(谷公一前防災担当相)と安倍派幹部への説明要求が噴出。特に安倍派内での不満が強く、松川るい前女性局長は記者団に「説明は十分ではない。安倍派メンバーであっても頭の中に謎がいっぱいある」と述べた。
 安倍派の西田昌司参院議員は記者団に「説明できないのはあり得ない。けじめをつけてもらいたい」と幹部を批判。党内では自発的な離党や議員辞職を求める声も出ている。

 岸田文雄首相は23日、記者団に「関係者に明確な説明責任を果たさせる。その上で党として対応を考える」と派閥幹部を処分する考えを示唆した。ただ、首相自身も岸田派の元会計責任者の立件に「事務的ミス」としか説明しておらず、自身に批判が跳ね返る可能性がある。

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