Annie Massa、Vernal Galpotthawela

  • ブルームバーグ・ビリオネア指数、アルトマン氏の資産を初めて計算
  • 株式非公開のベンチャー投資が大半、レディットIPOで拡大見込む

人工知能(AI)ブームの顔となったサム・アルトマン氏の資産は、「ChatGPT(チャットGPT)」を支える新興企業の成長をはるかに超えて膨らんでいる。

  ブルームバーグ・ビリオネア指数によると、オープンAIのCEOである同氏(38)の資産は少なくとも20億ドル(約3000億円)。同指数が初めてはじき出した今回の数字には、オープンAIの同氏持ち分は含まれない。オープンAIは最近、860億ドルと評価された。アルトマン氏はこれまで、オープンAIの株式を保有していないと繰り返し述べている。同氏の追跡可能な資産は多数のベンチャーキャピタル(VC)ファンドや新興企業への投資で構成。大株主の一人として出資しているソーシャルメディアのレディットが新規株式公開(IPO)を実施すれば、同氏の資産はさらに拡大すると見込まれる。

  アルトマン氏はコメントを控えた。

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サム・アルトマン氏Photographer: Dustin Chambers/Bloomberg

  世界中を飛び回るAI伝道師となったアルトマン氏は、選挙や芸術、教育、経済、社会にAIが及ぼす影響について啓発と恐れの両方を呼び起こしている。チャットGPTがきっかけとなった驚異的な株式相場急伸で、アルトマン氏は一躍時の人となり、同時に好奇や疑惑の目も集めている。

  オープンAIの共同創業者である資産家のイーロン・マスク氏は2月29日、同社が創業時の理念である「人類の利益」追求よりも営利を優先させ契約に違反したとして、同社とアルトマン氏を提訴した。アルトマン氏は昨年11月、取締役会に「コミュニケーションにおける率直性の欠落」を指摘され、突然オープンAIを退社。数日後にCEOに返り咲いた。米証券取引委員会(SEC)はこの解任劇について投資家を欺く行為の有無を調査していると、米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が29日に報じた。

  アルトマン氏の資産は株式非公開企業への投資がほとんどで、その源泉は不透明だ。マスク氏の医療ベンチャー、ニューラリンクにも出資しているが具体的な数字は開示されておらず、今回の資産推定額には算定されていない。

  アルトマン氏のベンチャー投資のなかでは、核融合企業のヘリオン・エナジーへの5億ドル投資や、人間の平均寿命を10年延ばすことを目指すレトロ・バイオサイエンシズへの1億8000万ドル投資が、知名度は低いものの際立つ存在だ。

  同氏は昨年、MITテクノロジー・レビュー誌とのインタビューで「基本的に全ての流動資産をこの2社に注ぎ込んでいる」と語った。

原題:Sam Altman Is Worth $2 Billion Apart From OpenAI’s Nonstop Drama(抜粋)