• TSMCに補助金、シカゴ連銀総裁発言、ダイモン氏のAI見解
  • ブラックストーンがREIT買収、アルトマン氏のSPAC
Total Solar Eclipse In Canada
Photographer: Al Drago/Bloomberg

8日午後、米国を横断する形で日食が起こりました。ニューヨーク市でも太陽が約90%欠け、オフィスや歩道から空を見上げる光景が見られました。米株式市場では取引が低調でしたが、大きな混乱はありませんでした。今週最初の「イベント」をこなした市場の注目は、10日の米消費者物価指数(CPI)や連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨などに移っていきそうです。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。

米国から補助金

米政府は半導体受託生産大手、台湾積体電路製造(TSMC)に対し66億ドル(約1兆円)規模の補助金と最大50億ドル相当の融資を提供する計画だ。同社がアリゾナ州で進める工場の建設を後押しし、重要技術の国内生産に向けたバイデン政権の取り組みを強化する。TSMCはアリゾナ州フェニックスに第3工場を建設する見通し。同工場は次世代の回路線幅2ナノメートルプロセス技術に頼り、2020年代末より前の稼働を予定する。

あまりに長期化すれば

米シカゴ連銀のグールズビー総裁は、高金利をあまりに長期間維持すれば失業率の上昇につながるとの考えを示した。「いつまで景気抑制的な政策を維持したいのか、注意が必要だ」と指摘。「その水準に長くとどまれば、失業率は上昇し始めるだろう」と述べた。3月の米雇用統計については「かなり強い」と評価。FOMCが5月に利下げを行うかどうかの質問に対しては、具体的な回答を控えた。

AIは最大の課題

JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は人工知能(AI)について、同行が取り組む課題の中で最も大きい可能性があると語り、その潜在的な影響を蒸気機関に例えて「事実上あらゆる仕事を増強し得る」との見方を示した。ダイモン氏は株主への年次書簡でAIの重要性を語った。同行はマーケティングや不正行為、リスクなどで400以上のAI使用事例を特定し、多くのAI専門家やデータサイエンティストを集めて生成AIの導入を模索し始めている。

機が熟す

米投資会社ブラックストーンは、賃貸アパートを所有する不動産投資信託(REIT)を約100億ドル(約1兆5200億円)で買収することで合意した。不動産市場に資金を投じる機が熟したとみていることを新たに示すものだ。8日の発表によると、ブラックストーンはAIRコミュニティーズとして知られるアパートメント・インカムREITを1口当たり39.12ドルの全額現金で取得することに合意した。これは4月5日の終値31.35ドルを25%上回る水準。

SPAC急伸

8日の米国株式市場で、米オープンAIのサム・アルトマンCEOらが支援する特別買収目的会社(SPAC)、オルトCアクイジションが一時33.5%上昇した。合併を通じて株式上場を目指す次世代原発スタートアップ企業オクロの提携に関する発表が材料視されており、これで11営業日続伸となった。オクロは米石油・天然ガス企業ダイヤモンドバック・エナジーとの長期電力購入契約を巡る協力について合意を明らかにした。

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