▽米関税交渉で省庁横断の新組織設置、赤沢再生相の支援体制強化
梅川崇
- 財務省や外務省などの職員約10人が常駐、赤沢大臣室の隣に設置
- 今週ワシントンでG20会合、加藤財務相は米国との二国間協議を模索
政府は21日、米国による関税措置の交渉を巡って新たな組織を発足させた。関係省庁から約10人の常駐職員を集めて内閣官房に部屋を設置し、対米交渉を担う赤沢亮正経済再生相への支援体制を強化する。
複数の政府関係者が明らかにした。今回立ち上げた「常駐室」は赤沢再生相の大臣室の隣に設置し、財務省や外務省、農林水産省などの職員を配置する。
政府はこれまで、各省庁の幹部らに対し米関税の対策本部要員としての非常駐の併任をかけていたが、常駐職員を配置することで迅速な意思疎通を可能にし、交渉体制の拡充を図る狙いがある。政府は、全閣僚が出席する総合対策本部と同本部の下に林芳正官房長官と赤沢再生相が共同議長を務めるタスクフォース(作業部会)を設置。これに併せて内閣官房に佐藤文俊内閣官房副長官をはじめとした各省の次官級や局長級など37人が構成する事務局が設けられた。
赤沢再生相は21日夜の記者会見で、 同日付で事務局に農水省や国交省を含む参事官や参事官補佐ら10名を加え、事務局の業務に専従させると説明。米国との関税協議を担う人材を関係府省から集めて緊密に連携をし、「省庁の枠を超えて米国との交渉や国内産業に対する必要な対策にオールジャパンで最優先かつ全力で取り組んでいくために、新しい配置をした」と語った。
赤沢再生相は16日に訪米し、トランプ大統領をはじめ、交渉相手であるベッセント財務長官やグリア通商代表部(USTR)代表とも会談した。米側は日本との協議を最優先と位置付けており、両国は月内に閣僚級会合を再度取り持つ方向で調整を進める。
赤沢再生相による交渉に加え、今週はワシントンで20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が開催される。加藤勝信財務相はベッセント財務長官と二国間協議を模索しており、実現すれば為替に関する協議が行われる見込みだ。