G Wはすでに始まっている。年がら年中G Wのような生活をしていると、世間の動きがとんと鈍くなる。トランプの関税騒動にかまけていたせいか、国内の政局がどうなっているのが、情報不足というか、かいもくわからない状態にある。今朝、読売新聞(Web版)をのぞいてみたら、「『石破降ろし』ムード後退、ポスト石破8人は…GW活用し議員外交・関税交渉で存在感アピール」と題した記事が掲載されていた。みなさん来たるべき総裁選に備えて力を蓄えているようだ。というか、議員外交という名の骨休めに勤しんでいると言ったほうがいいかもしれない。カナダの総選挙で逆転勝利を勝ち取ったカーニー首相のように、「徹底的にトランプ大統領と戦う」と宣言する政治家もいない。下り坂を急加速で転落する自民党を象徴するように、総裁候補と言われる割にいずれの皆さんも、政治家にとっても最も肝心な“勢い”がまったくない。
野党第1党の立憲民主党代表である野田佳彦氏、参院選挙を控えた党内の減税派の要求に押されて消費税の期限付きゼロ税率案を公約した。民主党が政権を担っていた時に総理大臣だった人、財務省と組んで増税路線に道筋をつけた張本人である。断腸の思いの決断だろうが、頼みの財務省との関係はこれでどうなるのだろうか。自民党との大連立は諦めたのだろうか。石破総理の手のひら返しに似た、いとも簡単な政策転換である。「手取りを増やす改革」、「消費税撤廃」と言い続けてきた国民民主党やれいわ新選組に比べると、トップの覚悟のなんと拙いことか。石破氏も野田氏も国会議員など辞めてしまえと、言いたくなる。でも裏を返せば立憲民主党内でも減税派がそれだけ“勢い”を増している証明でもある。減税を主張する政治家は皆ポピュリズムと批判した枝野幸男氏はこの先、党内で何を主張するのだろうか。「減税派は党を出て行け」と恫喝した“勢い”がブーメランとなって、自ら党を出ていくのだろうか。
読売新聞によると自民党内の有力候補の動静は以下の通りだ。総裁選で逆転負けした高市早苗氏、「自らに近い若手議員を連れて台湾を訪問中」、現内閣の実質的な総理である林芳正氏。「日米交渉や国内産業支援を担う作業部会の共同議長に就任」、連休中も仕事一筋だ。おかげで中央官庁からは、「全て司令塔は林氏」との声も漏れているそうだ。カナダのカーニー首相に次いで関税騒動の恩恵を受けている。コバホークこと小林鷹之氏は甘利明元幹事長と訪米中。将来に備えて同氏の人脈を引き継いでいるようだ。総裁選最下位の加藤勝信財務相、林氏同様に対米交渉の最前線に立つ。ハード・ネゴシエーターの評判が高い茂木敏充氏、テレビに出まくって対米交渉の秘策を喧伝しているようだ。残る河野太郎氏、小泉進次郎氏、上川陽子氏、皆それぞれに次を意識してG Wを過ごしている。ただ、この中には次の時代を呼び込む政策を声高に語る政治家が見当たらない。