AZECのオンライン首脳会合に出席した高市早苗首相=15日、首相公邸(内閣広報室提供)
AZECのオンライン首脳会合に出席した高市早苗首相=15日、首相公邸(内閣広報室提供)

 日本政府は15日、中東情勢の悪化を受け、東南アジアの国々やオーストラリアとつくる「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)」関連の首脳会合をオンラインで開いた。高市早苗首相は苦境に陥った国や企業の原油や石油製品の調達を手助けするため、総額約100億ドル(約1.6兆円)の金融面での協力を行うと表明した。

アジア脱炭素化、エネ調達でも連携 中東情勢受け協力深化へ―政府、AZEC枠組みで

 首相は会合後、記者団に「わが国はアジア各国とサプライチェーン(供給網)などを通じて密接に結び付いている」と指摘。人工透析用器具や手術用手袋の多くをアジア各国から輸入していることを例に挙げ、「アジアの燃料不足やサプライチェーン停滞は、わが国経済に悪影響を及ぼす」と協力の必要性を強調した。

 具体的には「アジア・エネルギー・資源供給力強靱(きょうじん)化パートナーシップ」を設立。域内の原油備蓄・放出システムの構築や、備蓄タンクなどのインフラ建設の支援、エネルギー源の多様化、省エネ投資の促進などで協力する。首相は「日本の備蓄原油を融通するのではない。国内需給への悪影響は一切ない」と説明した。

 金融支援では、政府系金融機関の国際協力銀行(JBIC)などを活用。日本に比べて信用力で劣るアジア各国の企業は原油調達などの資金の工面に苦慮しており、融資を通じて購入を後押しする。支援総額は、原油の調達コストに換算すると、東南アジア諸国連合(ASEAN)が約1年間に輸入する最大12億バレルを賄える規模という。

 AZECは日本やオーストラリア、東南アジア諸国の計11カ国による脱炭素化に向けた日本主導の協力枠組み。現下の中東情勢を受けて、エネルギー供給網の強靭化という視点も加えた。15日の首脳会合は日本が議長を務め、韓国やバングラデシュ、東ティモールの首脳らも出席して「AZECプラス」の枠組みで開催。議長声明では、参加国がこうした取り組みを歓迎したと記載した。

▽アジア脱炭素化、エネ調達でも連携 中東情勢受け協力深化へ―政府、AZEC枠組みで<時事ドットコム>2026年04月15日07時11分

 政府が、日本主導の東南アジア諸国などによる脱炭素化の枠組み「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)」について、エネルギー供給網の強靱(きょうじん)化に連携を拡大させる方向で検討していることが14日、分かった。中東情勢の悪化により各国で石油調達への不安が高まっていることを受け、排出量ゼロなど中長期的な目標だけでなく、エネルギー資源などの調達多角化や供給安定化といった足元の課題にも対応する。

排出量取引制度スタート 脱炭素化へ企業に義務付け―政府

 大型連休中で調整している高市早苗首相のオーストラリアやベトナム訪問などを通じた協力の深化を模索しているとみられるAZECは2022年に岸田文雄首相(当時)が提唱した枠組みで、日本や豪州、東南アジア諸国計11カ国が参加している。

 米イスラエルとイランの軍事衝突でホルムズ海峡が事実上封鎖され、中東産原油に大きく依存するアジア各国ではエネルギー安全保障上のリスクが顕在化。石油備蓄が少なく、節電での需要抑制に乗り出す国も出ており、足元の課題解決に一致して取り組む必要があると判断した。東南アジア地域でのエネルギー協力に前向きな姿勢を示す中国の影響力拡大をけん制する狙いもありそうだ。

 日本は、日本企業約1万社が進出する東南アジア諸国連合(ASEAN)をサプライチェーン(供給網)上の要衝と位置付けており、エネルギー強靱化で連携を強めたい考えだ。