▽アメリカとウクライナ、鉱物資源協定に署名 共同投資基金を設立へ

アメリカは4月30日、ウクライナと、同国の天然資源に関する協定を締結した。米財務省は、この協定がウクライナの戦後の復興努力を支援するとしている。
ドナルド・トランプ米大統領は、ウクライナがロシアの侵攻と戦う中で、アメリカがウクライナに将来の安全保障の保証を提供する前提条件として、この協定を繰り返し求めてきた。
この協定により、ウクライナとアメリカは鉱物を探すための共同投資基金を設立し、収益の分配方法を定める。
アメリカは声明で、トランプ政権が「自由で主権を持ち、繁栄するウクライナを中心とした平和プロセスにコミットしている」ことをロシアに示すものだと述べた。
30日午後に発表された米財務省の声明によると、新たに設立された米ウクライナ復興投資基金は、2022年2月にロシアが侵攻して以来、アメリカがウクライナに「重要な財政的および物質的支援」を提供してきたと評価している。
スコット・ベセント財務長官は、「トランプ大統領は、アメリカ国民とウクライナ国民の間のこのパートナーシップを、両国がウクライナの持続的な平和と繁栄にコミットしていることを示すために構想した」と述べた。
また、「明確にしておくが、ロシアの戦争資源に資金を提供したり供給したりした国家や個人は、ウクライナの復興から利益を得ることは許されない」と付け加えた。
その上で、この協定が「ウクライナの成長資産を解放する」助けになると述べた。
ウクライナのユリア・スヴィリデンコ副首相はソーシャルメディアに、米ワシントンの財務省ビルの外で立っている写真とともに、この協定によって設立された基金が「我が国への世界的な投資を呼び込む」と投稿した。
ウクライナには、グラファイトやチタン、リチウムといった重要なレアメタル(希少鉱物)が豊富に埋蔵されていると考えられている。こうした鉱物は、再生可能エネルギー、軍事用途、産業インフラに使用されるため、非常に需要が高い。
トランプ政権が他国の鉱物資源へのアクセスを求める背景には、世界のレアアース(希土類)の90%を供給する中国との貿易戦争の激化がある。
協定の草案は、鉱物以外にもアメリカがウクライナの産業に広範なアクセスを得ることを示唆している。

ベッセント氏は30日の早い時間に、「ウクライナの準備ができているなら、我々はきょう午後にも署名する準備ができている」と述べていた。また、ウクライナが「最後の瞬間に協定に変更を加えることを決定した」と話していた。
この日の午後には、交渉に詳しいアメリカの関係者が、ウクライナが週末に最終的に合意されたはずのいくつかの条件を再交渉しようとしていると批判した。
この関係者はBBCに、アメリカとウクライナのチームは、25日夜から26日にかけてと、30日の早朝まで、文書に合意するために徹夜で作業したと語った。
交渉の論点には、基金のガバナンス、透明性メカニズム、そしてすべての資金が完全に追跡可能であることを保証するための手順が含まれていたという。
ベッセント氏は協定の変更について、「何も削除されていない」、「週末に合意したのと同じ協定だ。我々の側には変更はない」と述べた。
この合意に関する技術文書は先週、両国の代表によって署名された。
アメリカによるウクライナへの安全保障支援については、具体的には明記されていないが、この協定は「アメリカがウクライナの安全保障を支持していることの具体的な証拠」だとしている。
アメリカは現在、ロシアとウクライナの停戦に向けた仲介役を担っている。トランプ大統領とウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は26日、キリスト教カトリック教会の教皇フランシスコの葬儀に参列した際に対面で会談を行った。
このときの両首脳の会談は、2月のホワイトハウスでの会談よりもはるかに友好的なものに見えた。その後数日間で、トランプ氏のゼレンスキー氏に対する口調は和らぎ、ロシアの攻撃に対する批判が増加した。
トランプ氏は30日、「知っての通り、我々は常にレアメタルを探している。ウクライナは多くの鉱物を持っており、我々は協定を結んだので、掘削を開始し、必要なことができる。これはウクライナにとっても良いことだ」と述べた。
この協定は当初、2月に署名される予定だったが、トランプ大統領がゼレンスキー大統領を「第3次世界大戦を賭けている」と非難した際の激しいやり取りの後、白紙に戻っていた。
(英語記事 US and Ukraine sign critical minerals deal