▽5月の実質賃金2.9%減 5カ月連続のマイナス、物価上昇に追いつかず

厚生労働省が7日に発表した5月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月比で2.9%減った。物価上昇に賃金の伸びが追いつかず、5カ月連続で減少した。マイナス幅は2023年9月以来の大きさとなった。
名目賃金を示す1人あたりの現金給与総額は1.0%増の30万141円だった。伸び率は4月から1.0ポイント縮んだ。ボーナスなどを含む「特別に支払われた給与」が18.7%減り、現金給与総額の伸びを抑えた。

基本給にあたる所定内給与は2.1%増えた。春季労使交渉での高水準の賃上げを反映したとみられる。連合の集計で25年の賃上げ率の平均は5.25%と2年連続で5%を超えた。
実質賃金の計算に使う5月の消費者物価指数(持ち家の家賃換算分を除く総合)の上昇率は4.0%だった。名目賃金の伸びを上回り、実質賃金を押し下げた。
5月はコメ類が前年同月から101.7%上昇し、過去最大の伸び率となった。外食のすしが6.3%、おにぎりが19.2%上がるなど食料を中心にインフレ率の高止まりが続く。
総実労働時間は2.0%減の134.2時間だった。就業形態別では一般労働者が1.9%減の158.3時間、パートタイム労働者が0.5%減の80.6時間となっている。
厚労省は3月分から実質賃金の算出に消費者物価の総合指数を使う新方式を導入した。新方式による5月の実質賃金は2.4%減と、従来方式に比べて0.5ポイント高くなっている。
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