- 中国・香港の企業、イランの輸出回避支援で米国のリスト入り
- イラン支援の本命はロシアか-伝統的な武器協力関係

米国とイスラエルの攻撃により、イランは最高指導者ハメネイ師を失い、ミサイル攻撃を受けているが、同国が防衛強化のために中国を頼れそうな気配はあまりない。
ここ数カ月、中国がイラン向けに防空システムを輸送しているという報道や、ミサイル推進剤の原料を輸送しているといった主張が飛び交っているが、中国、イラン双方とも公のコメントは出していない。米国の攻撃後、中国外務省は、同国がイランに超音速対艦ミサイルを供給する準備をしているという別の報道を「事実ではない」と一蹴した。
中国製兵器がイランを巡る戦闘に配備されたとの証拠は、今のところ確認されていない。習近平国家主席は、中国の海上原油供給の約13%を占めるイランを攻撃した米国を非難するにとどめ、公的な支援は限定している。
中国国防省はコメント要請に応じなかった。
シンガポールのS・ラジャラトナム国際研究院のヤン・ジー研究員は「中国がイランにとって主要な武器供給国だとは言い難いが、軍民両用技術は供給している」と指摘した上で、「中国は対イラン制裁に加え、イスラム教スンニ派湾岸諸国やイスラエルとの関係への配慮による制約もある」と語った。
米国防総省は昨年のリポートで、中国とイランの防衛関係は現在、中国企業がイランの弾道ミサイルやドローン計画向けに軍民両用部品を販売することに重点が置かれていると指摘した。リポートによると、ロシアも含めた3国間の海軍演習や、限定的な2国間軍事訓練も行われている。

中国は2005年以降、イランへの武器売却を公式に停止している。ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によると、中国はそれ以前には各種ミサイルや航空機、砲兵装備をイランに供給していた。
国際原子力機関(IAEA)が05年9月にイランが核拡散防止条約(NPT)を順守していないと指摘後、国連安全保障理事会は中国を含む全会一致で決議を採択し、核兵器に関連する可能性のある特定の物資や技術について、イラン向け輸出や同国からの輸入を事実上禁じる禁輸措置を打ち出した。
中国からイランへの直接的な武器売却は、米国の制裁でも抑止されている。ただ、中国製の軍民両用品の供給は、中国がロシアに対して講じてきた手法と同様、関与を否認できる余地を残す形となっている。
ロシアは中国との友好的な関係を活用し、西側の制裁を回避し、ウクライナ攻撃に用いるドローン製造のための部品を調達してきた。イランはウクライナ侵攻初期にシャヘド136型の「自爆型」ドローンをロシアに供給し、23年に締結した17億5000万ドル(約2760億円)の契約の一環として、ロシアが国内で生産できるよう技術も共有した。
イランの場合も同様の構図となる可能性がある。米連邦議会の諮問機関、米中経済・安全保障調査委員会(USCC)は昨年11月のリポートで、過去8年間でイランの輸出管理回避を支援したとして、100超の中国と香港の企業・団体が米国のリストに追加された。
イランを巡る戦争が深刻化する中で、中国がこうした支援を継続するかは不透明だ。ロシアとは異なり、イランは中国にとって重要な防衛・貿易相手国とは見なされていない。イランが近年、経済関係に不満を表明している一方、中国もイランの核開発の野心を警戒している。
ただ、イランのミサイル備蓄が消耗する中、支援を求める相手として有力なのはロシアだ。
イランとロシアは伝統的に緊密な武器協力関係を維持しており、イランはウクライナ侵攻でもロシアを支援してきた。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は2月、イランがロシアから数千発の先進的な肩撃ち式ミサイルを取得する秘密契約に署名したと報じた。
カーネギー・ポリティカの2月28日のリポートは「ロシアからイランへの武器供給は、近く枯渇するどころか、ロシアに機会があれば大幅に増加する可能性がある」としている。
原題:China Showing Few Signs It Will Directly Supply Arms to Iran(抜粋)