- 国債も切り返す-ドル下落に転じる、対円では上げ削り159円台前半
- 米WTI、ブレントともに100ドル割れ-決算嫌気しゴールドマンに売り

Ira Iosebashvili
13日の米金融市場では、株式が上昇。原油価格は上げ幅を縮小する展開となった。イラン側が和平交渉を巡って米政権に接触してきたとのトランプ米大統領の発言に反応した。原油が高値から下がったことで、米国債も当初の下げから切り返し、ドルは値を消した。ドル売りが優勢となる中で、円は1ドル=159円台前半まで下げを縮めた。
米株式市場では主要株価3指数がそろって当初の下げから上昇に転じた。S&P500種株価指数は1%値上がりし、2月下旬以来の高値。イラン戦争開始以来の下げを埋め、年初来でプラスに浮上した。
| 株式 | 終値 | 前営業日比 | 変化率 |
|---|---|---|---|
| S&P500種株価指数 | 6886.24 | 69.35 | 1.02% |
| ダウ工業株30種平均 | 48218.25 | 301.68 | 0.63% |
| ナスダック総合指数 | 23183.74 | 280.85 | 1.23% |
米国は予告通り、米東部時間午前10時(日本時間午後11時)からホルムズ海峡の封鎖を開始。これに先立ち、トランプ氏は同海峡で米艦船に接近するイラン船舶を攻撃すると警告していた。
一方、決算が嫌気され、ゴールドマン・サックスは売られた。株式トレーディング収入は過去最高となったものの、債券・為替・商品(FICC)のトレーディング収入は予想に届かなかった。
個別株ではこのほか、デル・テクノロジーズとHPの株価が上昇した。エヌビディアが「パソコン市場の構図を一変させる」ような企業買収を模索してるとの報道が買い材料。ただ、引け後にエヌビディアが報道内容を否定すると、両社の株価は時間外取引で下落した。
トランプ氏の「接触」発言とは裏腹に、週末のイスラマバードでの停戦協議が物別れに終わった後、あらためて協議が行われている兆候はほとんど見られていない。イラン側は協議決裂の責任は米国にあると非難し、一段の協議について確認していない。
ジョーンズトレーディングのチーフ市場ストラテジスト、マイケル・オルーク氏は「原油価格が高値を離れたことに加え、弱気ポジションの積み上がりが株式相場の反発を後押ししている」と指摘。「投資家は概して、伝わってくるイラン情勢に関する材料の信憑(しんぴょう)性について疑問を抱いているが、逆張りで損をするのも避けたいと考えている」と述べた。
ゴールドマンを皮切りに決算シーズンが今後本格化する中、イラン戦争に絡むリスクや人工知能(AI)の脅威、プライベートクレジットを巡る懸念について経営陣がどう語るのかに注目が集まっている。S&P500種構成銘柄の1-3月期(第1四半期)利益は前年比で12%増と予想されている。
ベルウェザー・ウェルスのクラーク・ベリン社長兼最高投資責任者(CIO)は「今回の決算シーズンが株式と原油の密接な連動を解消するのに十分な決めてとなり得るかどうかが焦点だ。従来は企業収益が株価のけん引役だ」と述べた。
モルガン・スタンレーのマイケル・ウィルソン氏は好調な企業収益がS&P500種の下値を支えていると指摘。イラン戦争が継続した場合でも、リスク資産への追加投資に備えるべきだと提言している。

米国債は小幅高(利回りは低下)。当初は週末の米・イラン停戦協議が物別れに終わったことで売りが先行していたが、原油価格が上げ幅を縮めたことで上げに転じた。
| 国債 | 直近値 | 前営業日比(bp) | 変化率 |
|---|---|---|---|
| 米30年債利回り | 4.89% | -1.4 | -0.29% |
| 米10年債利回り | 4.29% | -2.6 | -0.60% |
| 米2年債利回り | 3.77% | -2.1 | -0.55% |
| 米東部時間 | 16時46分 |
利回りは総じて原油価格に連動した動きとなった。イラン側が合意を求めて接触してきたとのトランプ氏の発言に反応して原油価格が上げを削ると、利回りは押し下げられた。

こうした値動きは、イランが米国の停戦条件に合意するとの慎重ながらも楽観的な見方を反映している。米短期金融市場では、原油高に伴うインフレショックにもかかわらず、連邦準備制度理事会(FRB)が年末までに利下げを再開するとの予想が維持されている。対イラン戦争前は、0.25ポイントの利下げ2回が完全に織り込まれていた。
HSBCセキュリティーズ (USA)の米金利ストラテジスト、ディラジ・ナルラ氏は「ホルムズ海峡周辺で混乱が続く兆しが出ているなか、先週発表された経済指標ではエネルギーコストの上昇が米インフレに波及していることが示されており、債券市場は年内の米利下げ見通しに引き続き慎重だ」と述べた。
金利スワップ市場は、12月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合での0.25ポイント利下げの確率を約28%織り込んでいる。一方、2027年下期まで利下げは完全に織り込まれていない。
オプション市場では、10年債利回りが約4.1%まで低下した場合に利益が得られる5月物の契約で大口の買いが入った。この利回り水準は3月10日以来の低さとなる。
為替
ニューヨーク外国為替市場では、ドルが上げを失う展開。週末の米国とイランの停戦協議が物別れに終わったことを受けて、ドルは当初値上がりしたが、イラン側が合意を求めて米国に接触してきたとのトランプ氏の発言で流れが変わった。
| 為替 | 直近値 | 前営業日比 | 変化率 |
|---|---|---|---|
| ブルームバーグ・ドル指数 | 1196.54 | -2.23 | -0.19% |
| ドル/円 | ¥159.44 | ¥0.17 | 0.11% |
| ユーロ/ドル | $1.1759 | $0.0036 | 0.31% |
| 米東部時間 | 16時46分 |
ブルームバーグ・ドル・スポット指数は0.2%低下。一時は0.5%上昇していた。
パイオニア・インベストメンツのパレシュ・ウパダヤ氏は「ドルと主要10通貨の上限と下限が定まったとみている。不確実性が高い限り、このレンジ内での推移が続くだろう」と述べた。
円は主要10通貨の中で唯一、ドルに対して売られた。ただ、トランプ氏の発言を受けてドルが値を消す中で、1ドル=159円台前半まで下げ幅を縮小した。早い時間には159円86銭まで売られる場面もあった。

バンク・オブ・アメリカが4月3-9日に実施したファンドマネジャー調査によると、投資家はドルの売り持ちを解消した。一方で、イラン戦争による支援は一時的で、かつFRBの利上げは回避されるとの見方から、買い持ちには慎重姿勢を崩していない。
デレク・ハルペニー氏ら、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)のアナリストは「全般的な為替の動きは落ち着いているものの、これが続くとは限らない。エネルギー供給の逼迫(ひっぱく)が長引くほど、経済への影響は大きくなる」とリポートで指摘。「状況がさらに悪化すれば、今週はドルが再び上昇するリスクがある」と述べた。

原油
原油先物相場は上昇。米海軍がホルムズ海峡の封鎖に踏み切ったのを受け、エネルギー供給リスクの高まりが改めて意識された。ただ、停戦交渉がなお継続している可能性が示唆されたことで、上値は抑えられた。
トランプ氏はこの日、ホルムズ海峡で米艦船に接近するイラン船舶を攻撃すると警告。同氏は米東部時間午前10時(日本時間午後11時)の期限経過後、SNSへの投稿で「これらの船舶がわれわれの封鎖に少しでも接近すれば、海上で麻薬密輸船に対して用いているのと同様の手段で、直ちに排除する」と述べた。
米軍によるホルムズ海峡封鎖については、その実施や執行を巡りなお多くの不透明要因が残るものの、戦争中も続いてきたイランの原油輸出を断つ可能性がある。
もっとも、流動性が低下し、ニュースに反応して価格が大きく振れやすくなっている原油先物市場では、その後のトランプ氏の「イランはなお合意をまとめたがっている」との発言を受け、上げ幅が縮小した。
CIBCプライベート・ウェルス・グループのシニア・エネルギー・トレーダー、レベッカ・バビン氏は「先物市場で上げ幅がやや縮小したのは、紛争の収束を見込み、原油が比較的早期に市場に戻ってくるとのシナリオを織り込んだためだ」と指摘。「しかし実際には、そのような展開にはかなり長い時間がかかる公算が大きい。仮に、明日にも供給が再開したとしてもだ」と述べた。

2月下旬の開戦以降、トランプ政権は原油価格の沈静化に向け、緊急備蓄から過去最大規模の放出を主導するなど、複数の対策を講じてきた。しかし、そうした措置は原油価格の押し下げにはほとんど効果を上げていない。
国際エネルギー機関(IEA)のビロル事務局長は13日、イラン戦争による前例のない供給危機の深刻さは原油価格にまだ十分反映されていないが、いずれ反映されると指摘。戦闘で80カ所を超えるエネルギー施設が損傷しており、復旧には最長で2年を要する可能性があると警告した。
ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)原油5月限は前営業日比2.51ドル(2.6%)高の1バレル=99.08ドルで終了した。北海ブレント先物6月限は4.16ドル(4.4%)高の99.36ドルで引けた。
金
金スポット相場は小幅安。トランプ氏によるホルムズ海峡封鎖で世界的なエネルギー供給ショックが強まるなか、インフレ懸念の高まりが意識された。
エネルギー価格の高止まりと米消費者物価指数(CPI)を受け、投資家の関心は再びインフレに向かっている。10日発表の3月米CPIは、前月比で2024年以来の高い伸びとなった。イランとの戦争でガソリン価格が急騰したことが背景にある。米短期金融市場は、年内利下げの確率を2割未満と織り込んでいる。こうした状況は、利子を生まない金の投資妙味を相対的に下げる。
金価格は2月末のイラン戦争開始以降、約10%下落。開戦当初はポートフォリオ内の他の資産での損失を補うために売却する動きが広がった。ただ足元では、景気減速懸念の高まりが金利上昇リスクを打ち消す形となり、下落分の一部を取り戻している。
ANZグループ・ホールディングスのシニア・コモディティ・ストラテジスト、ダニエル・ハインズ氏は、こうした動きが金相場を一定程度下支えし続けるはずだと述べた。
スポット価格はニューヨーク時間午後2時現在、前営業日比19.75ドル安の1オンス=4730ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物6月限は、同20ドル(0.4%)安の4767.40ドルで引けた。
原題:S&P 500 Wipes Out 2026 Loss on Iran Deal Hopes: Markets Wrap(抜粋)
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