- 北海ブレント原油先物は一時1バレル=86ドルちょうど付近まで下落
- 米海軍による海峡封鎖、イランとの取引完了まで継続-トランプ氏

原油先物相場は、ニューヨーク時間17日の取引で急落。イランのアラグチ外相がホルムズ海峡について「完全に開放されている」と述べたことを受けて、米国とイランの紛争が終結に向かい、世界のエネルギー市場の混乱が緩和されるとの楽観が広がった。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物5月限は、前日比10.84ドル(11.5%)安の1バレル=83.85ドルで取引を終了。北海ブレント先物6月限は9.01ドル(9.1%)安の90.38ドルで引けた。

アラグチ氏はX(旧ツイッター)への投稿で「レバノンの停戦に合わせ、停戦の残りの期間はあらゆる商船のホルムズ海峡通航を完全に開放すると宣言する」とした。
同発言を受け、紛争終結が視野に入りつつあるとの楽観が市場に広がった。これより先、トランプ米大統領は、イランによる譲歩が戦争終結に向けた合意に道を開くと主張していた。中東での戦争はペルシャ湾からの原油供給を阻害し続けている。
A/Sグローバル・リスク・マネジメントのチーフアナリスト、アルネ・ローマン・ラスムセン氏は「市場は現在、戦争および海峡閉鎖の終結を織り込みつつある」と指摘。「もっとも、対象はイラン沿岸を航行する船舶に限られている点にわれわれは留意している。全面的な開放ではない可能性もある」と述べた。
アラグチ氏の投稿後、トランプ氏はイラン側の動きを歓迎。ただ、米海軍によるホルムズ海峡封鎖は「イランとの取引が100%完了するまで」継続するとくぎを刺した。これを受けて、原油相場は下げ幅をやや縮小した。
イラン外務省は、米国による封鎖が続けば対応措置を取ると表明。海上封鎖は停戦合意に違反するとの認識を示した。
慎重姿勢
イランがホルムズ海峡は全ての商船に開放されていると表明したことに対し、タンカー船主や原油トレーダーは慎重な反応を示した。
ドバイ拠点の船舶代理店シャラフ・シッピング・エージェンシーのディレクター、ファルハド・パテル氏は、ホルムズ海峡の再開について「真価が問われるのは一貫性だ」と指摘。「今後数日にわたり問題なく安全な通航が維持されれば、信頼は徐々に回復するだろう。それまでは、表向きは再開されたとしても、サプライチェーンへの圧力は続くとみられる」と語った。
ニュースサイトのアクシオスは、米国が凍結されているイラン資金200億ドル(約3兆1800億円)を解除する見返りに、イランが濃縮ウランの備蓄を放棄することが検討されていると報道。両国の交渉担当者が今週末に次回協議を開催する可能性が高いとも伝えた。
トランプ氏はまた、イランが核開発計画を無期限で停止することで合意し、米国に凍結されている資金も受け取らないと述べた。
この日のこうした動きは、7週間にわたる紛争の終結が視野に入りつつあるとの楽観につながった。この紛争は近年で最も深刻な世界的エネルギー供給の混乱をもたらしている。原油市場では、トレンド追随型のCTA(商品取引顧問)がロングポジションを解消し、ブレントのロング比率は17日に27%と、取引開始時点の82%から大きく低下した。ケプラーのデータで明らかになった。
ラピダン・エナジー・グループの最高経営責任者(CEO)で元米中央情報局(CIA)職員のスコット・モデル氏は、「今後数週間で合意に至ったとしても、ホルムズ海峡を通じた輸送が完全に再開されるのは6月、あるいは7月になる」と指摘。
「その行方は、イランの核開発計画を巡る主要な対立点で米国とイランが折り合えるかどうかに左右される。高濃縮ウランの扱い、イランによるウラン濃縮凍結の期間、最終的なホルムズ海峡の取り扱いなどだ」と続けた。
原題:Oil and Gas Plunge on Hormuz Opening, Hope for End of War(抜粋)