• S&P500種、6営業日ぶりに下落-WTIと北海ブレントは共に5%超上昇
  • トランプ氏、停戦延長の可能性「極めて低い」-ホルムズ封鎖継続へ

20日の米株式相場は下落。米国とイランの停戦期限が迫る中、和平協議の行方は不透明になっている。原油は急伸した。円は対ドルで1ドル=158円台後半で推移した。

株式終値前営業日比変化率
S&P500種株価指数7109.14-16.92-0.24%
ダウ工業株30種平均49442.56-4.87-0.01%
ナスダック総合指数24404.39-64.09-0.26%

  S&P500種株価指数は先週付けた最高値から反落し、6営業日ぶりに下げた。大手テクノロジー企業の一角が売られた。トランプ米大統領はイランとの2週間の停戦について、期限までに合意に至らない場合、延長する可能性は「極めて低い」と述べた。また、合意が成立するまでホルムズ海峡は封鎖された状態が続くとの見方を示した。

  トランプ氏は電話インタビューで「拙速に悪い合意を結ぶつもりはない。時間はいくらでもある」と発言。停戦の期限は米東部時間22日夕だとした。

  トランプ氏によると、バンス副大統領が20日にパキスタンに向けて出発し、「21日夕もしくは22日朝」に交渉を再開する。トランプ氏の娘婿ジャレッド・クシュナー氏とウィトコフ特使も同行する見通しだ。

  イランは、2回目の和平協議に参加するかどうかについて明言を避けている。米紙ニューヨーク・タイムズは、イラン代表団が21日にイスラマバードに向かう予定だと伝えた。

  インタラクティブ・ブローカーズのシニアエコノミスト、ホセ・トーレス氏は「中東情勢が再び激化し、ウォール街全体に弱気な風が吹き荒れている。米国とイランの紛争が長期化するリスクが意識されている」と話した。

  フォレックス・ドット・コムのファワド・ラザクザダ氏は「注目を集めたホルムズ海峡の『再開』は1日も持たず、以前の緊張が再燃した」と指摘。「それでも、期限が迫る中で交渉力を強めるため、双方が強硬な発言で駆け引きしているに過ぎないとの見方もある」と述べた。

  セブンズ・リポートのトム・エッセイ氏は、最近の緊張激化にもかかわらず、両国の停戦協議は実施される見通しだと指摘。比較的近い将来に持続的な停戦合意が成立するとの見方が市場では広がっていると述べた。

  その上で「パキスタンでの停戦協議が中止にならない限り、市場はネガティブな地政学的ニュースにはあまり反応しないだろう」と続けた。

  21日にはトランプ氏が先に次期連邦準備制度理事会(FRB)議長に指名したケビン・ウォーシュ元FRB理事の指名公聴会が行われる。

  ウォーシュ氏は「金融政策の独立性は獲得されるものであり、不要な影響を排することでより良い政策判断が形成されると考えている」と発言する。「金融政策運営が厳格に独立性を維持するよう確実にすることにコミットする」としている。証言原稿をブルームバーグが確認した。 

国債

  米国債は下落(利回りは上昇)。債券投資家はインフレと金融政策の先行きを慎重に見極めようとする中、中東和平協議に関連する材料や、今週のケビン・ウォーシュ氏の次期FRB議長指名公聴会に注目している。

国債直近値前営業日比(bp)変化率
米30年債利回り4.88%0.10.02%
米10年債利回り4.25%0.70.16%
米2年債利回り3.72%1.20.33%
米東部時間16時36分

  短期金融市場が織り込む年末までの利下げ確率は約60%となっている。

  SMBCのグローバル・マーケッツ・ストラテジスト、ハンク・キャレンティ氏は「市場が週末のノイズを威嚇的な言動と受け止めていることを、この日の値動きは示している」と指摘。「発言を受けた慎重なリプライシングが起きている」と分析した。

  キャピタル・ドットコムのシニア市場アナリスト、ダニエラ・ハソーン氏は「市場は目まぐるしく変わる中東情勢への対応に再び苦慮している。過去48時間に楽観と新たな懸念の双方がもたらされた」と指摘。こうした駆け引きの結果、市場は「岐路に立たされているような状況だ」と付け加えた。

  22日には130億ドル規模の20年債入札が予定されている。

外為

  外国為替市場でドルは小幅安。対円では一時158円50銭台まで売られる場面もあったが、その後は再び上げに転じた。

為替直近値前営業日比変化率
ブルームバーグ・ドル指数1191.90-0.97-0.08%
ドル/円¥158.86¥0.220.14%
ユーロ/ドル$1.1787$0.00220.19%
米東部時間16時36分

  バンク・オブ・アメリカ(BofA)の為替ストラテジスト、アレックス・コーエン氏は「市場全体に『リスクオフ』の反応を引き起こす事象のハードルは、今やかなり高くなっているようだ」と話した。

  ソシエテ・ジェネラルの為替戦略責任者キット・ジャックス氏は「ドルはレンジ内の動きになっており、不確実性と米金融・財政政策への懸念の双方を反映している」と指摘した。

  ウェルズ・ファーゴのストラテジスト、アループ・チャタジー氏は「こうした協議や期限を前に、市場は様子見モードにある」と指摘。

  「ウォーシュ氏の公聴会は興味深いものになるだろう。次期議長に指名されて以来、同氏の発言はほとんど聞かれていないためだ」とし、「利下げを求める短期的な圧力と、マクロ環境、そしてFRBの責務をより限定的に捉える自身の従来の見解や、バランスシートなどの非伝統的手段の活用を巡る考えとのバランスを取る必要がある」と続けた。

  バンダ・リサーチのストラテジスト、ビラジ・パテル氏は「紛争終結が視野に入ったことを示す明確なシグナルがない限り、ドル安を追いかけることには慎重になる」と述べた。

  21日には3月の米小売売上高が発表される。ガソリン支出の急増を背景に、全体の売上高は大幅な伸びが予想されている。同統計はインフレ調整していない。

原油

  原油先物相場は急伸。ホルムズ海峡のエネルギー輸送を巡るリスクが再燃し、米国とイランの和平協議が頓挫する可能性が懸念された。

  原油は一時、上げを拡大する場面があった。トランプ米大統領はブルームバーグに対し、停戦期限までに合意に至らない場合、延長の可能性は「極めて低い」としたほか、合意が成立するまでホルムズ海峡の封鎖は続くと発言。これを受け、原油価格は上げを拡大した。トランプ氏は停戦の期限を22日としている。

  バッファロー・バイユー・コモディティーズのマクロ取引責任者、フランク・モンカム氏は「私に言わせれば、海峡はそもそも開かれていなかった」と指摘。「実効性のある枠組みの実現という点では、双方の隔たりは依然大きい」とし、停戦が期限を迎えた後に緊張が高まれば、新たにロングポジションを積み増す余地が出てくると述べた。

  ホルムズ海峡を通る商業船舶の動きは20日時点でほぼ停止状態にあり、海峡からの脱出を試みている石油製品タンカーが1隻あるほか、反対方向に進む原油タンカーと液化天然ガス(LNG)船がそれぞれ1隻にとどまる。米国防総省はSNSへの投稿で、米海軍による封鎖開始以降、27隻の船舶に対して引き返すか、イランの港へ戻るよう指示したと明らかにした。

  SEBのチーフ商品アナリスト、ビャーネ・シールドロップ氏は「市場は依然として迅速な解決を見込んでいるが、日を追うごとに供給不足のリスクは高まっている」と指摘。「物流面では供給の混乱や航行時間の長期化、運賃や保険料の上昇により、実際の原油の流れは制約を受けた状態が続いている」と述べた。

  ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物5月限は、前営業日比5.76ドル(6.9%)高の1バレル=89.61ドルで終了。5月限は21日に最終取引日を迎える。中心限月の6月限は5.9%高の87.42ドルで引けた。北海ブレント先物6月限は5.1ドル(5.6%)上昇し95.48ドルで終了。

  金相場は反落。週末に中東の海域で緊張が高まったことで、エネルギー供給ショックによるインフレリスクが再び意識されたほか、戦争終結に向けた協議にも不透明感が広がった。

  金スポットは一時1.9%下げる場面があった。米国はホルムズ海峡の封鎖を続けており、19日にはイラン船を拿捕(だほ)した。こうした状況を受け、イランは米国との第2回協議に向けたパキスタンへの外交団派遣に消極姿勢を示した。原油と天然ガスの価格上昇を受けてインフレ懸念が再燃し、米利下げの可能性は後退している。これは、利息を生まない金投資にはマイナス材料となる。

  オーバーシー・チャイニーズ銀行(OCBC)のストラテジスト、クリストファー・ウォン氏は今回の金売りについて、「地政学的な展開を受けてリスクセンチメントが後退したことを反映している」と分析。一方で、「次回会合を前に双方が交渉力を高めているとの見方も根強い」とし、当面の価格動向はより広範なリスクセンチメントに左右されるとの見方を示した。

  市場は、トランプ大統領が次期連邦準備制度理事会(FRB)議長に指名したケビン・ウォーシュ元FRB理事の指名承認公聴会に注目している。公聴会は21日、上院銀行委員会で行われる予定。ウォーシュ氏が年内の金融緩和に前向きとの見方が強まれば、金の支援材料となる一方で、インフレに対する慎重姿勢や利下げへの消極姿勢が示されれば、金にはマイナスとなる。

  スポット価格はニューヨーク時間午後3時11分現在、前営業日比10.57ドル(0.2%)安の1オンス=4819.77ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物6月限は50.80ドル(1%)下げて4828.80ドルで引けた。

原題:Stocks Fall, Oil Jumps on Doubts Over Peace Deal: Markets Wrap(抜粋)

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