• S&P500終盤に下げ拡大、バンス氏はパキスタン訪問取りやめと報道
  • 円は一時159円64銭まで下落、WTI先物6月限2.6%高の89.67ドルで終了
21日の米国株は上げを消す展開
21日の米国株は上げを消す展開Photographer: Michael Nagle/Bloomberg

21日の米株式相場は続落。米国とイランの和平協議が停戦合意の期限前に実現しないとの懸念が広がった。ホルムズ海峡の通航などを巡って両国の対立は続いている。原油相場は上昇した。円は対ドルで売られ、一時1ドル=159円60銭台を付けた。

  トランプ米大統領は米市場の引け後、協議が完了するまでイランとの停戦を延長すると表明した。

株式終値前営業日比変化率
S&P500種株価指数7064.01-45.13-0.63%
ダウ工業株30種平均49149.38-293.18-0.59%
ナスダック総合指数24259.96-144.43-0.59%

  S&P500種株価指数は取引終盤に下げ幅を拡大した。バンス米副大統領はパキスタン訪問を取りやめたと、AP通信が米当局者を引用して報じた。イランは22日の協議欠席をパキスタンを通して米国に伝えたと、同国のタスニム通信は報じた。これを受けて、トランプ氏は同国との停戦を延長すると表明した。

  トランプ大統領は朝方、イラン政府にはパキスタンでの交渉に代表団を派遣する以外の「選択肢はない」とし、打開策が得られなければ爆撃再開の「準備はできている」と経済専門局CNBCとのインタビューで語った。

  イランのガリバフ国会議長はこれより先、「われわれは脅されながらの交渉は受け入れない」と述べていた。

  ノースライト・アセッ・マネジメントのクリス・ザッカレリ氏は、「万事安全だというシグナルが出るまで現金で待機するのは、決して収益性の高い戦略ではないが、先行きには多くのリスクがある」と指摘。「従って、高いリスクを取りに動くのも妥当とは言えない」と述べた。

  ネーションワイドのチーフ市場ストラテジスト、マーク・ハケット氏は「原油価格の急騰は、イラン和平合意への懐疑的な見方が強まりつつあることの表れだ。1カ月前ほどではないにせよ、地政学的な不確実性の影響を受けやすい状況は変わっていない」と話した。

  トランプ氏が次期連邦準備制度理事会(FRB)議長に指名したケビン・ウォーシュ元FRB理事は、上院銀行委員会の指名公聴会で、承認された場合はFRBのトップとして独立した立場で行動する考えを示した。

  「大統領に指名されたことを光栄に思う。FRB議長に承認されれば、独立した立場で行動する」と述べた。また、金利決定についてトランプ大統領から約束を求められたことは一度もないと付け加えた。

  ペッパーストーン・グループのマイケル・ブラウン氏は、第1印象として「ウォーシュ氏率いるFRB」はおおむね予想通りのように見えると指摘。「要するに、金利が再び主要な政策ツールになり、バランスシートは副次的な役割にとどまる可能性が高い。時間の経過とともに縮小する可能性もあるが、FRBが十分(ample)な準備預金のアプローチを取る中では、大幅な縮小はやや難しくなるだろう」と述べた。

国債

  米国債は下落(利回りは上昇)。原油の上昇に加え、この日発表された米経済指標が堅調な内容となり、利下げ観測が後退した。

国債直近値前営業日比(bp)変化率
米30年債利回り4.90%2.50.52%
米10年債利回り4.30%4.71.09%
米2年債利回り3.78%6.31.69%
米東部時間16時48分

  金融政策に敏感な2年債利回りは一時8ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の3.80%を付けた。

  3月の米小売売上高は過去1年で最大の伸びを示した。イラン戦争をきっかけとしたガソリン価格の急騰にもかかわらず、消費者が幅広い分野で支出を続けたことを示唆している。米ADP民間雇用者数は4月4日までの4週間に、週平均で5万4750人増加した。

  JPモルガン・アセット・マネジメントのポートフォリオマネジャー、プリヤ・ミスラ氏は「停戦期限が迫っていることと、イランと米国の対立が続いていることに市場は反応している」と解説した。

  また「原油価格ショックは、FRBの2大責務に逆方向の圧力をかける」とし、「FRBの政策は議長の反応関数よりも、今後発表される経済データの方向性に大きく左右されるだろう」と話した。

  DWSアメリカズの債券部門責任者、ジョージ・カトランボーン氏は「トランプ氏が指名した人物にとっての課題は、市場が信頼できる政策と、トランプ氏が最終的に望む政策との間で微妙なバランスを取らなければならないことだ」と述べた。

  インタラクティブ・ブローカーズのシニアエコノミスト、ホセ・トーレス氏は、ウォーシュ氏が公聴会で「タカ派的な姿勢」を示したと指摘。「新型コロナ禍後のFRB政策の誤りが、物価上昇圧力を当局目標を大きく上回る水準に押し上げたというのが、同氏の見解だ。これは同氏がインフレ抑制を重視し、金融環境の引き締めも辞さないことをさらに裏付けている」と語った。

外為

  外国為替市場ではドルが上昇。対円では一時0.5%高の159円64銭まで買われた。

為替直近値前営業日比変化率
ブルームバーグ・ドル指数1196.814.930.41%
ドル/円¥159.41¥0.600.38%
ユーロ/ドル$1.1742-$0.0046-0.39%
米東部時間16時48分

  クレディ・アグリコルのストラテジスト、ヴァレンティン・マリノフ氏は「市場は一連のニュースを受けて、中東での紛争が再び激化する可能性を織り込みつつある」と指摘。「バンス氏はイランとの協議のため、イスラマバードに向かう予定だった」と続けた。

  日本銀行は今月の金融政策決定会合で、中東情勢による経済・物価への影響が不透明な状況を踏まえ、政策金利を0.75%程度に据え置く公算が大きい。物価の上振れリスクが意識される中、利上げ姿勢は維持する見通しだ。複数の関係者への取材で分かった。

  インベスコ・アセット・マネジメントのポール・ジャクソン氏は、イランでの紛争が解決すればドル売りの流れが再開するとし、ドル・円相場は1年後に140円に下落すると予想した。「日銀が引き締めを進めれば、円は上昇する見通しだ」とし、今後1年に2回の利上げを想定している。

原油

  原油相場は上昇。バンス米副大統領はパキスタン訪問を取りやめたと、AP通信が米当局者を引用して伝えた。その後トランプ大統領は、イランとの停戦を延長すると明らかにした。

  パキスタンで予定されていた第2回協議は、2週間の停戦を前に緊張緩和に向けた最後の機会とみられていた。また原油タンカーがホルムズ海峡を通航できるかどうかを見極める上でも注目されていた。

  ユーラシア・グループの地政学アナリスト、グレゴリー・ブリュー氏はAPの報道が伝わる前の段階で、「双方とも、交渉に入る前の段階で駆け引きをしている印象だ」と指摘。「イランと米国はいずれも、代表団を派遣する前に合意の具体像を十分に把握したいと考えている」と述べていた。

  トランプ大統領は朝方のCNBCとのインタビューで、米国は合意を急がないと述べるとともに、打開策が見いだされなければイランへの爆撃を再開すると改めて警告した。米国とイランの双方が、相手が停戦合意に違反したと主張していた。

  イランのアラグチ外相はXへの投稿で、米国によるイラン港湾の海上封鎖は戦争行為に該当すると主張。「商船を攻撃し乗組員を拘束することは、さらに重大な違反だ」と述べた。

  ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物6月限は、前日比2.6%高の89.67ドルで終了。21日が最終取引日の5月限は2.52ドル(2.8%)上昇の92.13ドルで引けた。北海ブレント先物6月限は3.1%上昇し98.48ドルで終了。

  金相場は続落。バンス米副大統領はパキスタン訪問を取りやめたと、AP通信が米当局者を引用して伝えた。両国は主要な問題で依然対立している。この後トランプ大統領は、イランとの停戦を協議完了まで延長すると述べた。

  これより先、米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)がバンス氏のイスラマバード訪問が保留されたと報道。これを受けてドルと米国債利回りが上昇し、ドル建てで取引され利息を生まない金の重しとなった。

  トランプ大統領は朝方、イランにはパキスタンに代表団を派遣する以外に「選択肢はない」と発言。CNBCに対し、打開策が見いだされなかった場合に備えて、米国は爆撃再開の「準備ができている」と語った。一方で、イランのガリバフ国会議長はこれより先、「脅しの下での交渉は受け入れない」と述べた。

  次期連邦準備制度理事会(FRB)議長に指名されたケビン・ウォーシュ元FRB理事が、根強いインフレに対応するためFRBには新たな枠組みが必要だと議会で述べたことも、金の下押し要因となった。

  ウォーシュ氏はインフレに対してタカ派的な姿勢で知られる。投資家は、同氏がトランプ大統領の求める積極的な利下げを実施するとはみておらず、漸進的に引き下げる慎重な対応を取ると見込んでいる。

  モティラル・オスワル・フィナンシャル・サービシズの商品アナリスト、マナブ・モディ氏は「地政学と政策の見通しはどちらも依然不透明であり、金には下押し圧力が続いている」と述べた。

  スポット価格はニューヨーク時間午後4時15分現在、前日比121.58ドル(2.5%)安の1オンス=4699.08ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物6月限は109.20ドル(2.3%)下げて4719.60ドルで引けた。

原題:Stocks Fall, Brent Tops $100 Before Truce Expires: Markets Wrap(抜粋)

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