- 和平協議の膠着、トランプ氏の威圧的な発言が主因-複数の当局者
- イラン指導部を辱める投稿、合意に応じる意欲を低下させる-当局者

Salma El Wardany、Ben Bartenstein、Mirette Magdy、Patrick Sykes
イランが米国との対面による和平協議に応じる可能性は、トランプ米大統領の威圧的な発言や強硬なSNS投稿によって損なわれている。事情に詳しい複数の当局者が明らかにした。
米当局者2人によると、トランプ氏のトゥルース・ソーシャルへの投稿や、対イラン海上封鎖継続の判断が、パキスタンなど仲介国を通じて進められている交渉に悪影響を及ぼしている。
イラン側の交渉担当者も、トランプ氏の投稿はイラン指導部を辱める狙いがあり、それが合意に応じる意欲を低下させていると指摘する。具体的には「国全体を吹き飛ばす」や「石器時代に逆戻りさせる」といった投稿だ。事情に詳しいイラン当局者と中東の外交官が明らかにした。事案の性質上、当局者はいずれも匿名を条件に話した。
中東各地に甚大な被害をもたらし、エネルギー価格を急騰させた戦争の終結に向けた協議は膠着状態が続いている。
和平交渉の見通しが立たないなか、ホルムズ海峡を通る輸送の早期再開期待は後退。23日の原油相場は上昇し、北海ブレントは1バレル=105ドルを上回って終えた。

こうした膠着状態の主因となっているのがトランプ氏の発信だと、当局者らは指摘する。イラン側の交渉担当者と接触している欧州の外交官によると、ここ1日、進展がほとんどみられていない。
トランプ氏は4月7日、米国とイランが停戦に入る直前に「一つの文明が今夜にも滅びるだろう」と述べていた。ホワイトハウスは、こうした強い表現がイランに停戦合意を受け入れさせる一因になったと主張している。
しかし、トランプ氏の投稿の一部はイラン当局の反発を招いており、パキスタンで行われた協議でイラン側の代表団を率いたガリバフ国会議長は「情報戦であり、世論操作だ」と批判した。
イランのペゼシュキアン大統領は22日、イランは対話を歓迎するものの、「封鎖と威嚇が(外交の)主な障害になっている」と指摘した。
複数の米当局者によると、トランプ氏の側近の一部は封鎖を維持すべきだと主張している。原油を輸出できない状況が続けば、イランは数週間以内に貯蔵施設が満杯となり、生産停止に追い込まれるとの見方だ。こうした状況は経済に大きな打撃を与え、より大きな譲歩を引き出すことにつながるとみている。こうした立場の側近にとっては、トランプ氏のSNS投稿は時間稼ぎの手段として映っている。
同じ米当局者の話では、トランプ氏の周辺には別の見方もある。今こそ出口を探るべき時期だとし、ホルムズ海峡の混乱が長引けば国内経済への打撃が一段と深まり、11月の中間選挙にも影響が及ぶリスクがあると指摘している。こうした立場の側近は、大統領の強硬な発信が米イラン交渉の進展を損ないかねないとみている。
ホワイトハウスの報道官は、トランプ政権の国家安全保障チームは、イランが核兵器を決して保有できないようにする方針で完全に一致していると述べた。そのうえで、最終的な判断は常に大統領が下すとしている。
米国とイランが暫定的な合意に達し、ホルムズ海峡の再開と米国による海上封鎖の終了が実現する一方で、その他の主要な争点は今後の交渉に委ねられる可能性もある。欧州や湾岸アラブ諸国の一部指導者は、より広範な問題に関する合意には少なくとも6カ月を要するとの認識を示している。
中東研究所のイラン専門家であるアレックス・バタンカ上級研究員は「トランプ氏の発信スタイルは、外交を機能させたいという自身の立場を損なっている」と指摘。「現在のイラン政権の場合、効果的なのは静かで目立たない対応だ。強い言葉やメディアでの発信、SNSでイラン指導部を攻撃するようなやり方ではない」と述べた。
原題:Trump’s Social Media Blitz Divides Advisers as Iran Talks Teeter(抜粋)