• S&P500種は反落、一時約1.3%安-北海ブレント105ドル超で終了
  • 片山財務相、為替で米と緊密連携と発言-市場は介入兆候を注視
米株安・原油高、ホルムズ海峡巡る緊張高まる
米株安・原油高、ホルムズ海峡巡る緊張高まるPhotographer: Michael Nagle/Bloomberg

23日の米金融市場は新たなボラティリティーに揺れる展開となった。ホルムズ海峡を巡る緊張の高まりを背景に、原油価格が上昇。株式相場は下落した。海峡の封鎖が長期化し、エネルギー供給の混乱がさらに深刻化するとの警戒が広がった。円は対ドルで売られ、一時1ドル=159円80銭台を付けた。

株式終値前営業日比変化率
S&P500種株価指数7108.40-29.50-0.41%
ダウ工業株30種平均49310.32-179.71-0.36%
ナスダック総合指数24438.50-219.07-0.89%

  S&P500種株価指数は上昇から転じて、一時は約1.3%下落する場面も見られた。一連の企業決算も意識されている。ソフトウエア株が特に安い。IBMとサービスナウの決算は、いずれも人工知能(AI)による業界変革への懸念を和らげるには至らなかった。2026年の設備投資額見通しを引き上げたテスラも下落。一方、テキサス・インスツルメンツ(TI)は上昇し、フィラデルフィア半導体株指数を押し上げた。半導体株指数はこれで17日続伸となった。

  トランプ米大統領は、ホルムズ海峡で機雷を敷設する船舶への射撃を海軍に命じた。米軍はまた、イラン港湾の封鎖回避を試みた超大型原油タンカー2隻を拿捕(だほ)したと発表した。

  イランは米国による港湾封鎖が続く限り交渉には応じない姿勢を示した。イラン国営テレビは外務省の発言として、同国軍にはさらなる脅威に応じる準備ができていると伝えた。 一方、イスラエルの国防相は戦闘再開の構えがあると述べた。

  フォレックス・ドット・コムのファワド・ラザクザダ氏は「両国間の外交を巡って、かなりの不確実性がある」と指摘。「さらに気がかりなのは、ホルムズ海峡の状況が不透明なことだ。再開に向けた明確な見通しがない中、不確実性が高止まりしている」と述べた。

  インタラクティブ・ブローカーズのチーフストラテジスト、スティーブ・ソスニック氏は、TIの決算に対する好反応について、「投資家が再びテクノロジー株全般、特に半導体を選好する一因となっている」と指摘。強い決算がペルシャ湾の封鎖を巡るネガティブなニュースを上回ったとの見方を示した。

  ブルームバーグがまとめたデータによれば、これまでに1-3月(第1四半期)決算を発表したS&P500種構成企業のうち、約80%の業績がアナリスト予想を上回った。

  個別銘柄ではこの日、マイクロソフトが米国内の従業員約7%を対象に希望退職を募る。事情に詳しい関係者が匿名を条件に明らかにした。メタ・プラットフォームズは、従業員の10%に相当する約8000人を削減する計画だ。

  ジャナス・ヘンダーソンのアダム・ヘッツ氏とオリバー・ブラックボーン氏は、イラン紛争の勃発に伴いボラティリティーは当然ながら高まったが、金融市場は比較的底堅さを示してきたと指摘した。

  その上で、「敵対行為やそれに伴う世界経済への混乱は短期間にとどまるとの重要な前提で、投資家の見方は一致している」と説明。「当社のセンチメントやポジション指標では、一部市場で下落が降参売りの領域に達しつつあり、魅力的な投資機会となり得ることが示された」と続けた。

国債

  米国債は下落(利回りは上昇)。イランと米国の和平交渉が成立するのかを巡り、不安が強まった。

国債直近値前営業日比(bp)変化率
米30年債利回り4.91%0.70.15%
米10年債利回り4.32%2.00.46%
米2年債利回り3.83%3.00.78%
米東部時間16時46分

  原油が上昇する中、利回りは一時上げ幅を拡大した。こうした動きは、和平交渉の行方に投資家が神経をとがらせている状況を浮き彫りにしている。

  ウェルズ・ファーゴ投資研究所のサミーア・サマナ氏は「現実の問題は引き続きホルムズ海峡だ。米国とイランはいずれも強硬な立場を取っており、合意に至る道筋は見えにくい」と指摘。「状況は好転する前に、もう少し悪化する可能性が高い」と述べた。

外為

  外国為替市場ではドルが上昇。対円では159円84銭まで買われた。円は一方で、片山さつき財務相の発言に下支えされる面もあった。

為替直近値前営業日比変化率
ブルームバーグ・ドル指数1199.442.240.19%
ドル/円¥159.71¥0.230.14%
ユーロ/ドル$1.1685-$0.0020-0.17%
米東部時間16時46分

  片山財務相は、為替市場について、日本の当局者は米国側と24時間態勢で緊密に連絡を取り合っていると述べた。

  都内で開催されたブルームバーグのイベントで登壇し、過去の為替介入は効果があったとし、当局は再び行動を取り得ると語った。介入に関して「われわれにフリーハンドがある」と述べ、あらゆる可能性が想定される中でも、強い姿勢を貫いていくと表明した。

  この日発表された4月のS&Pグローバル米総合PMI(速報値)は上昇し、3カ月ぶりの高水準となった。戦争に伴う供給混乱を受けて物資確保の動きが広がり、製造業は約4年ぶりの強さとなった。総合PMIの販売価格指数は22年7月以来の高水準に上昇した。

  マネックスのアンドリュー・ハズレット氏は同PMI統計について、価格の急上昇が懸念されると述べた。

  先週の米新規失業保険申請件数は前週比で増加したものの、依然レイオフが抑制されている状況と整合する水準だった。

  ウェルズ・ファーゴのストラテジスト、アループ・チャタジー氏は「米国による封鎖とホルムズ海峡でのイランの動きは、緊張が再び激化するテールリスクを高めている」と指摘。「原油価格が上昇を続け、それとともにドルが上がっているのは自然な流れだ」と述べた。

原油

  原油相場は上昇。イラン戦争の緊迫化を示す新たな兆候を受け、ホルムズ海峡を通る輸送が早期に再開される見通しは後退している。

  ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物は3.1%上昇し、1バレル=96ドル付近で終了。北海ブレントは105ドルを上回って引けた。和平協議の停滞や強硬発言の応酬、軍事的脅威の増大が懸念され、地政学的プレミアムが価格に上乗せされている。

  イランのメディアは、テヘランの一部で「敵対的な目標」に対処するため防空システムが作動したと報道。ただ対象の詳細は明らかにしなかった。イスラエルが攻撃再開の構えを示したことを受け、地域のエネルギーインフラが再び攻撃対象となる可能性が一段と警戒されている。

  トランプ米大統領は、ホルムズ海峡で機雷を敷設する船舶への「射撃」を海軍に命じたとSNSに投稿。これを受け、原油相場は午前中も堅調に推移していた。

  米戦略国際問題研究所(CSIS)の中東プログラムディレクター、モナ・ヤクービアン氏は「停戦は崩れつつある可能性がある」と指摘。「船舶の臨検が行われている。活動範囲を中東海域をはるかに超えて拡大させた米国に対して、イランは公然と挑発的な態度を取っている。こうした海軍活動は紛れもないエスカレーションだ」と述べた。

  ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物6月限は、前日比2.89ドル(3.1%)高の1バレル=95.85ドルで終了。北海ブレント先物6月限は3.16ドル(3.1%))上昇し、105.07ドルで引けた。

  金相場は反落。ホルムズ海峡を巡る緊張の高まりから原油価格が上昇し、高インフレへの懸念が再燃している。

  金スポットは一時1.6%下落。ホルムズ海峡を巡る米国とイランの緊張は高まっている。双方が封鎖を維持しており、新たな和平協議の見通しが立たない中で対立が続いている状況だ。

  2月末の戦争開始以降に見られるエネルギー価格の上昇を受け、インフレ圧力が長期化するとの懸念が強まっている。インフレ圧力が根強く続けば、米連邦準備制度理事会(FRB)など中央銀行は金利を長期にわたり高水準で維持する、あるいは利上げに踏み切る可能性さえある。そうなった場合、利息を生まない金投資にはマイナス要因となる。

  ストーンXグループで欧州・中東・アフリカおよびアジアの市場分析責任者を務めるローナ・オコネル氏は、貴金属市場は「引き続き慎重かつ不安定な展開となるだろう」とリポートで指摘。「こうした緊迫した地政学環境では、専門のトレーディング企業は引き続き大きなポジションの構築に消極的だ」と述べた。

  スポット価格はニューヨーク時間午後3時14分現在、前日比44.14ドル(0.9%)安の1オンス=4695.76ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物6月限は29ドル(0.6%)下落し4724ドルで引けた。

原題:Stocks Decline as Iran Jitters Spur Rally in Oil: Markets Wrap(抜粋)

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