• ベトナムで演説、アジアとのAI分野の協力強化に意欲-FOIPを進化
  • 日越首脳、エネルギー・重要鉱物の供給網強化、半導体やAI協力合意
高市早苗首相とベトナムのレ・ミン・フン首相(5月2日)
高市早苗首相とベトナムのレ・ミン・フン首相(5月2日)Photographer: NHAC NGUYEN/AFP

照喜納明美堤健太郎

高市早苗首相は2日、インド太平洋地域の通信インフラ整備を日本が支援する「デジタル回廊構想」に取り組む考えを表明した。

  訪問先のベトナムで外交政策に関する演説を行った。高市氏は法の支配に基づく国際秩序の構築を目指した「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」を進化させると強調。エネルギー・重要物資の供給網の強靭化を含む人工知能(AI)が普及する時代の「経済エコシステムの構築」安全保障分野での連携拡充に取り組む方針を示した。

  具体策として、大量のデータのやり取りに必要となる、信頼できる通信インフラの建設は急務だとし、インド太平洋地域で海底ケーブル、オープンRAN、衛星通信、オール光ネットワークなどのインフラ整備支援を推進するとした。

  高市氏は首相就任時の所信表明演説で、FOIPを時代に合わせて進化させることに意欲を示していた。提唱から10年間の国際情勢の変化や技術革新を踏まえ、今回の演説で経済や安全保障分野での連携強化を呼び掛けた形だ。

Japan's Prime Minister Sanae Takaichi at Liberal Democratic Party's Annual Convention
高市早苗首相Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  演説では、ベトナムが現在議長国を務める環太平洋連携協定(TPP)の拡大にも言及。フィリピン、インドネシア、アラブ首長国連邦(UAE)を「戦略的に重要な加入要請エコノミー」とし、加入プロセスの早期開始を目指す考えを示した。防衛装備品の供与や政府開発援助(ODA)を通じた安全保障面での支援拡充にも意欲を示した。

  重要物資について「特定国に過度に依存してしまうのは不当に安価な供給が行われているからだ」と指摘。供給網を強靭化するためには、「価格」以外の要素を踏まえた「公平な競争条件の確保」が不可欠だと語った。

  FOIPは安倍晋三元首相が2016年8月ケニアで行った演説で提唱した。日本は「太平洋とインド洋、アジアとアフリカの交わりを、力や威圧と無縁で、自由と法の支配、市場経済を重んじる場として育て豊かにする責任を担う」と表明。その後、トランプ米大統領と同方針を進めることを確認した。

  FOIPは地域で影響力を強める中国の台頭に日米が対抗していく手段と見なされてきた。

レアアース

  今回、高市氏は1-5日の日程でベトナムとオーストラリアを訪問する。

  高市氏は2日午前(日本時間同日午後)にベトナムのレ・ミン・フン首相と会談した。エネルギーや重要鉱物のサプライチェーン(供給網)強化、半導体やAIといった分野での協力で合意した。

  ベトナムは日本にとって中国に次ぐレアアース(希土類)輸入先で、供給網の強化に欠かせない重要なパートナーだ。中東情勢を受け、原油不足が生じているベトナムに対しては、出光興産が原油を融通するなど、両国の協力が進んでいる。

  フン首相との会談では、ベトナムの製油所の原油調達を日本の官民のパートナーが支援することで一致した。

  今月中旬に高市氏は東南アジアなどの原油・石油製品調達を後押しするため、約100億ドル(約1兆6000億円)の金融支援を行うことも表明していた。

  高市氏はレアアースの供給網多角化に向けて協力が進んでいる豪州も訪問する。最大手ライナスに対しては、双日と石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が11年に設立した特別目的会社「日豪レアアース」を通じて出融資を行っている。

  豪州では、4日にアルバニージー首相との会談と共同記者発表を行う。同国とは防衛協力も進んでおり、次期汎用フリゲートには「もがみ型」護衛艦の改良型が選定された。4月には3隻に関する契約を締結し、主契約者の三菱重工業が日本で建造する。

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