産経新聞が報じた「国力研究会(JiB)」の発足は、永田町に大きな衝撃を与えている。国民的人気は高いものの、党内基盤の脆弱さが課題だった高市早苗総理にとって、強力な「防波堤」が誕生することになる。
研究会の略称「JiB」は、高市氏の看板スローガンである「Japan is Back」に由来する。日本再生を掲げるこの名称に対し、反高市派も表立って異論は唱えられないだろう。
発起人には麻生太郎副総裁を筆頭に、茂木敏充外相、加藤勝信元官房長官、西村康稔選対委員長、萩生田光一幹事長代行、小泉進次郎防衛相、小林鷹之政調会長ら党内実力者が勢揃いした。さらに、中曽根弘文元外相、松山政司参院議員会長、有村治子総務会長、山谷えり子元国家公安委員長といった重鎮・閣僚級も名を連ねている。
事務局長には、総理の盟友である山田宏参院議員が就任。21日の初会合にはグラス駐日米大使を招くなど、早くも「官邸・党一体」の姿勢を鮮明にしている。
衆参両院の自民党議員に配られた設立趣意書には、総裁選や衆院選で掲げた公約の実現は「自民党の責任」であると強調されている。具体的には以下の3点が柱だ。
①「責任ある積極財政」
②「安全保障政策の抜本的強化」
③「インテリジェンス機能の強化」による政策転換
これは、緊縮財政派や石破茂前総理に近い勢力、また独自グループを設立した石井準一参院幹事長ら「反高市派」への強烈な牽制となる。一方で、来秋の総裁選を睨む林芳正総務相が誘いから外された点は、麻生氏による「敵味方の選別」を象徴している。
注目すべきは野党・国民民主党の動向だ。麻生氏と国民・榛葉幹事長の緊密な関係を考えれば、同党を連立に取り込む、あるいは政策協力で固めることで、参院でのキャスティングボードを無力化する狙いが透けて見える。玉木代表が「高市離れ」の兆候を見せる中、麻生氏による切り崩しが成功すれば、高市政権は長期政権への道を確固たるものにするだろう。
「国力研究会」の発足は、単なる勉強会の枠を遥かに超えている。官界、財界、メディアに根深く残る「緊縮財政派」という岩盤を打ち破り、日本の政治・経済構造そのものを造り変える「政界再編」の前奏曲となる可能性を秘めている。21日の初会合に誰が出席し、名簿に誰が名を連ねるのか。永田町の視線はそこに注がれている。