• 米国債は全年限で上昇、円は対ドルで一時0.3%高の156円44銭
  • 原油は反発、米・イラン早期和平合意への期待後退-週間では下落
にゅー
にゅーPhotographer: Michael Nagle/Bloomberg

8日の米株式相場は反発。S&P500種株価指数が最高値を更新した。この日発表された米雇用統計で労働市場の堅調さが示されたことで、イラン戦争に伴うエネルギーショックにもかかわらず、米経済は底堅さを維持しているとの見方が強まった。

株式終値前営業日比変化率
S&P500種株価指数7398.9361.820.84%
ダウ工業株30種平均49609.1612.190.02%
ナスダック総合指数26247.08440.881.71%

  S&P500種は週間ベースでは6週連続の上昇となった。堅調な景気を背景に、企業業績が引き続き押し上げられるとの見方が広がっている。人工知能(AI)関連銘柄の復調も相場を後押しし、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は先週末以降に11%上昇した。

  原油相場は前日比で小幅に上げたが、週間ベースでは下落した。

  米国とイランは仲介国を通じ、戦争終結に向けた協議の枠組みを定める覚書の策定を進めていると、ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙が報じた。

  トランプ米大統領による戦争終結に向けた最新提案について、米国はイランが近く回答するとの見通しを示した

  地政学情勢が引き続き市場を動かす主な材料だが、投資家は戦争の影響を見極めようと最新の経済指標を注視する。

  4月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が約1年ぶりに2カ月連続で増加。失業率は前月と同水準だった。

  ミシガン大学が発表した5月の消費者マインド指数(速報値)は、インフレの影響への懸念から過去最低を更新したが、堅調な雇用統計の前にそこまで材料視されなかった。

  ノースライト・アセット・マネジメントのクリス・ザッカレリ氏は「経済は悲観論者が言っているよりはるかに良好だ」と指摘。「原油価格の上昇や根強いインフレ、金利の高止まりといった逆風は多いが、それでも労働市場は雇用を拡大している」と述べた。

  不確実性が高い中でも株式相場が底堅さを保っている理由について、ザッカレリ氏は、株価は企業利益に連動する。少なくとも現時点で、企業利益は投資家が無視できないほど速いペースで伸びていると述べた。

  ブルームバーグの集計データによれば、S&P500種構成企業の約82%が第1四半期に予想を上回る利益を計上した。

  バーナム・ファイナンシャル・グループのクリス・カンピツィス氏は、労働市場に活性化の兆しが見られても、原油価格急騰の影響を見極めるため、米連邦準備制度理事会(FRB)は当面、政策金利を据え置く公算が大きいとの見方を示した。

  ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントのリンゼイ・ロズナー氏は「堅調な経済指標とインフレにより、当面の金融緩和の可能性はほぼ消えたとみられるが、エネルギー価格や中東情勢の動向次第では変わり得る」と述べた。

  個別銘柄ではインテルが大幅高。アップルのデバイス向けチップの一部を製造することで暫定合意に達したと、WSJ紙が報じた

  ブロードコムも高い。同社の資金調達を巡る協議に、アポロ・グローバル・マネジメントとブラックストーンを含む複数のプライベートクレジット運用会社が関与していると、ブルームバーグ・ニュースが伝えた

米国債

  米国債相場は全ての年限で上昇(利回り低下)。強弱入り交じる経済指標を受けて、FRBは政策金利を据え置くとの見方が強まった。市場の関心は再びインフレ動向へと移っている。

国債直近値前営業日比(bp)変化率
米30年債利回り4.93%-2.9-0.58%
米10年債利回り4.35%-3.3-0.75%
米2年債利回り3.88%-2.7-0.68%
米東部時間16時58分

  10年債利回りは4.36%と、前週末とほぼ同じ水準で引けた。イラン戦争に関する見通しが目まぐるしく変わり、変動の大きな週だった。

  雇用統計では非農業部門雇用者数が11万5000人増え、失業率は4.3%で前月と同水準だった。12日発表の米消費者物価指数(CPI)では高水準のインフレが示されるとみられている。

  TDセキュリティーズの米金利ストラテジスト、モリー・ブルックス氏は「来週発表される4月のCPIは、次のFRB政策の方向性について、市場の見方を見極める上で重要なイベントとなる」と述べた。

  短期金融市場は引き続き、FRBが政策金利を年内据え置くとの見方を織り込んでいる。2027年の利上げに備えたヘッジも一部に見られる。

  PGIMフィクスト・インカムのポートフォリオマネジャー、マイケル・コリンズ氏は「FRB内の膠着(こうちゃく)状態が固定化され、当面は無期限に政策を据え置くことがほぼ確実となった」と述べた。

外為

  外国為替市場でドル指数は反落。年内の米利上げ観測後退が背景にある。

  円は対ドルで上昇。一時0.3%高の1ドル=156円44銭を付けたが、その後は上げ幅を縮小した。

為替直近値前営業日比変化率
ブルームバーグ・ドル指数1187.98-2.44-0.20%
ドル/円¥156.68-¥0.25-0.16%
ユーロ/ドル$1.1785$0.00590.50%
米東部時間16時59分

  バンク・オブ・アメリカ(BofA)の為替ストラテジスト、アレックス・コーエン氏は雇用統計について「良い内容だが、素晴らしいというほどではない。賃金や労働参加率を考慮すると強弱が混在している」と指摘。

  「非農業部門雇用者数は失業率に比べると、FRBでさほど重視されていないとも言えるだろう。この数字は差し迫った利上げを意味しない」と述べた。

  マネックスの為替トレーダー、アンドルー・ハズレット氏は「地政学は今もなお主要な材料であり、労働市場よりインフレの方が差し迫った懸念材料といえよう」と話した。

原油

  原油相場は反発。米国とイランの間で再び攻撃の応酬が起き、早期の和平合意への期待が後退する可能性が意識された。

  国際指標のブレント原油は1.2%上昇し、1バレル=101ドル台前半で取引を終えた。ただ、週間では約6%安となった。米当局者が、戦争終結とホルムズ海峡の再開に向けた最新提案にイランが近く回答するとの見方を示す一方、ペルシャ湾での戦闘再開が市場を動揺させた。

  石油市場の焦点は依然としてホルムズ海峡にある。同海峡は2月末に戦争が始まって以降、事実上閉鎖されている。これにより前例のない供給ショックが発生し、原油の流れは遮断され、域内各地の油井は操業停止に追い込まれている。

  ベン・ホフ氏らソシエテ・ジェネラルのアナリストはリポートで「ホルムズ海峡の支配は、イランにとって最も強力な交渉カードとして浮上している」と指摘した。「依然として、外交的解決が基本シナリオである一方、最近の船舶拿捕(だほ)や嫌がらせ行為は戦闘再開のリスクがあることを浮き彫りにした」と分析した

  ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物6月限は、前日比0.61ドル(0.6%)高の1バレル=95.42ドルで終了。北海ブレント先物7月限は1.2ドル(1.2%)上昇して101.29ドルで終了した。  

  金先物は4日続伸。米国とイランの脆弱な停戦が揺らぐ懸念が高まっているが、金に対する買い意欲は維持された。

  金先物は今週約2%上げた。イランがホルムズ海峡を航行する米海軍の駆逐艦に発砲したことを受け、米国はイラン国内の軍事目標を攻撃した。ただ、1カ月にわたる停戦は依然として維持されているとトランプ氏は述べた。

  こうした状況の一方で、数年にわたる金相場の上昇を支えてきた一因である中央銀行からの需要が続く兆しがある。主要な買い手の一つである中国人民銀行は、4月に2024年12月以来の高水準となる8.1トンを購入した。

  ペッパーストーン・グループのアナリスト、アフマド・アシリ氏は、中国人民銀行の動きは「アジアの投資家の買いを後押しする可能性がある」と語った。そして、中東情勢の最悪期が過ぎた後に見込まれる「上昇に向けた初期のポジショニングの兆候が見られる」と加えた。

  金スポット価格はニューヨーク時間午後3時12分現在、前日比39.40ドル(0.8%)高の1オンス=4725.20ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物6月限は19.80ドル(0.4%)高の4730.70ドルで取引を終えた。

欧州

  8日の欧州株は下落。ホルムズ海峡付近での米国とイランの衝突が売り材料となった。中東での緊張があらためて強まり、近い将来の紛争終結への期待は後退した。

  ストックス欧州600指数は0.7%安。通信、テクノロジー株が上昇した一方、保険や工業関連銘柄は特に売られた。

  欧州債は英国債がブルフラット化。英地方選では与党・労働党が大敗した情勢だが、スターマー首相は党首続投を表明している。今週末にかけてさらなる選挙結果が明らかになる見通しで、スターマー首相への圧力は強まる可能性がある。

  ドイツ債は上昇と下落を繰り返したが、ほぼ変わらずで取引を終えた。米・イランの停戦をめぐる不透明感が背景にある。

5月8日の欧州マーケット概観(表はロンドン午後6時現在)

為替スポット価格前営業日
ユーロ/ドル1.17711.1726
ドル/円156.70156.93
ユーロ/円184.45184.01
終値前営業日比変化率
ストックス欧州株600612.14-4.28-0.69%
英FT10010,233.07-43.88-0.43%
独DAX24,338.63-324.98-1.32%
仏CAC408,112.57-89.51-1.09%
債券直近利回り前営業日比
独国債2年物2.60%+0.02
独国債10年物3.01%+0.00
英国債10年物4.91%-0.04

原題:Stocks Hit Record High on Jobs as Chipmakers Surge: Markets Wrap

Treasuries Gain to End Choppy Week as Focus Shifts to Inflation

Dollar Extends Drop After Jobs Report; Loonie Lags: Inside G-10

Oil Ticks Higher as Gulf Clashes Threaten to Derail Ceasefire

Gold Rises as Buying Interest Counters Concern Over Hormuz Clash

European Stocks Drop After US-Iran Clashes; Rheinmetall Slides

Gilts Gain on Starmer Vow, Bunds Steady: End-of-Day Curves(抜粋)