- イラン戦争で苦しい立場の米国-中国、レアアース切り札に優位認識
- 中間選挙に向け成果目指すトランプ氏-中国は台湾問題で譲歩狙う

トランプ米大統領は13日から中国を訪問し、習近平国家主席と首脳会談を行う予定だ。この訪問でトランプ氏は経済関連の合意と「熱狂的な」歓迎を期待している。だが実際には、イランとの戦争によって自らの立場が制約される中、より自信を強めた習氏と対峙することになる。
トランプ氏の外遊は、2月末にイランへの攻撃を開始して以来初めて。北京の人民大会堂での意見交換や国賓晩餐会、翌朝の会談を通じ、両首脳は貿易、関税、台湾について議論する見通しだ。議題にはもちろん、イランも含まれる。

Trump, Xi Slated for Beijing Summit Amid Iran Conflict2:40トランプ米大統領は13日から中国を訪問し、習近平国家主席と首脳会談を行う
イランへの圧力を強め、戦争終結に向けた合意に持ち込もうとするトランプ氏の方針の下、米国は中国の石油精製業者やイランに衛星画像を提供する企業を制裁の標的にしてきた。ただ、米国は中国が持つレアアース(希土類)という切り札とのバランスも取らなければならない。中国は昨年、世界の製造業を支えるレアアースを、米国の関税に対抗するために利用した。

ユーラシア・グループのシニアアナリストで元米外交官のジェレミー・チャン氏は、重要鉱物分野での中国の優位性を挙げた上で、「習氏はトランプ氏を攻略したという自信を持って、首脳会談に臨む」と指摘する。
11月の米中間選挙では、燃料価格の上昇が共和党の議会支配を脅かす可能性があり、トランプ氏は農産物購入など、有権者受けの良い成果を求めている。チャン氏は「この首脳会談で必要としているものは、習氏よりもトランプの方が多い。習氏はそれを理解している」と語った。
イラン問題
首脳会談は、貿易や経済的な相違を巡る本格的な議論ではなく、中国がイラン問題でどこまで米国に協力する意思があるかを試す場となる可能性がある。
トランプ氏はこれまで、敵対国や同盟国との交渉で自らが優位に立っているとの見方を繰り返し示し、同氏のチームも大統領が強い立場から交渉に臨んでいると主張している。ホルムズ海峡の閉鎖が長期化すれば、世界最大の原油輸入国である中国は経済的リスクに直面する。特に、中国の輸出主導の経済に対する世界的な需要に影響が及ぶ場合はなおさらだ。
イラン戦争が3カ月目に入る中、中国はイラン産原油の最大の購入国であり、イランの戦略的パートナーとして特別な影響力を持っているとみられる。ベッセント米財務長官も先週これを認め、史上最大規模とされる石油供給混乱を引き起こしているホルムズ海峡の再開に向け、中国に協力を求めた。

期待薄
首脳会談では、貿易休戦の延長や中国による米国産農産物や航空機の購入、合成麻薬フェンタニルの流通問題の対応について議論する可能性が高い。米当局者は10日、両首脳が政治・安全保障上の問題になりにくい分野の製品の取引を管理する貿易委員会と、投資委員会の設立案を検討する見通しだと記者団に語った。
トランプ氏は金融、テクノロジー、航空宇宙、農業といった主要分野の企業幹部で構成する代表団を同行させるが、大きな進展が得られるとの期待は高くない。
元中国外交官で人民大学国際関係学院の王義偉院長は「多くの合意は期待しない方がいい。トランプ氏が訪中すること自体が成功であり、年内に予定される習氏の訪米に向けた土台を築くことになる」と語る。
複数の中国のアナリストによると、習氏の最優先事項は台湾問題となる見通しだ。中国共産党は台湾を自国の一部と見なしている。米国が台湾に対し、過去最大規模となる110億ドルの武器供与を発表したことを受け、習氏は今年初め、トランプに対し慎重に対応するよう警告していた。
南京大学国際関係学院の朱鋒院長は、台湾問題が「中国の利益の中で最も敏感かつ中核的なもの」だとして、「中国は武器売却にとどまらず、台湾政策全体の転換をトランプ氏に求めるだろう」と述べた。
トランプ氏は台湾への米国の武器売却について習と協議すると明言している。ルビオ国務長官も、この問題について「我々の政策は変わっていない」と強調した。一方で、複数の元米政府高官は、トランプ氏が会談の中で、台湾に関する米国の立場を軟化させる可能性に懸念を示している。
力関係
トランプ、習両氏が北京で握手を交わす際に明らかになるのは、両超大国の間の力関係が変化しつつあるという点だ。
6カ月前、韓国で習氏とトランプ氏が会談し1年間の貿易戦争の休戦に合意した際には、関税が主要な懸念事項だった。その後、関税を圧力手段として用いるトランプ氏の力は、効力を認めないとする米最高裁の判決によって弱まった。経済的手腕を誇示する主張も、燃料価格の上昇を受けて難しくなっている。
中国も独自の経済問題に直面している。AI時代の競争力として必要な先端半導体へのアクセスは、米国の規制によって制限を受けている。戦争終結に向け、中国がイランにどれほどの影響力を持っているかも不透明である。
北京にある政策調査グループ、全球化智庫(CCG)の創設者、王輝耀氏は、米中関係について「新たな常態に入りつつある。つまり、米国も中国も、トランプが初めて訪れた10年前とは、中国が異なる存在だと認識している」と語った。
原題:Trump Faces Emboldened Xi in China as Iran War Clips US Leverage(抜粋)