• 総合CPIは予想上回る前年同月比3.8%上昇、2023年以来の大きな伸び
  • コアCPIは前年比2.8%上昇、実質平均時給は3年ぶりに減少
ニューヨーク市内、イケアの買い物客
ニューヨーク市内、イケアの買い物客Photographer: Michael Nagle/Bloomberg

Mark Niquette

米消費者物価指数(CPI)は4月に、前年同月比の伸びが引き続き加速した。イラン戦争に伴うガソリン価格上昇のほか、食品の値上がりなどが全体を押し上げた。インフレ率は賃金上昇ペースを上回り、消費者に打撃を与えている。

キーポイント
総合CPIは前年同月比3.8%上昇-2023年以来の大きな伸び
市場予想3.7%上昇
3月は3.3%上昇
前月比では0.6%上昇-市場予想0.6%上昇
食品とエネルギーを除いたコアCPIは前年同月比2.8%上昇
市場予想2.7%上昇3
月は2.6%上昇
前月比では0.4%上昇-予想0.3%上昇

  インフレ調整を施した実質平均時給は前年同月比0.3%減と、3年ぶりに減少した。

  今回のCPI統計は、イラン戦争に伴うエネルギーコスト急騰が米経済に打撃を及ぼしつつある状況を示した。ガソリン価格は過去2カ月間で約28%上昇した。食品や家賃、航空運賃なども前月比の上昇率が大きくなった。

  特に生活必需品の価格上昇が続いた場合、消費者の支出抑制につながる可能性がある。

  PNCファイナンシャル・サービシズ・グループのチーフエコノミスト、ガス・ファウチャー氏は「抑制されているとみられていたインフレが再び加速しており、これは深刻な問題だ」と指摘。「インフレ高止まりの期間が長引くほど、消費者の負担は一層強まる」と述べた。

  仮に停戦が維持され、ホルムズ海峡の通航が近く再開されたとしても、原油生産の正常化や物流の回復には時間を要するため、高コスト状況は向こう数カ月続くとエコノミストは予想している。

  肥料価格の上昇は食品の値上がりにつながる見通しであり、原油高は、企業が輸送コスト上昇分を消費者に転嫁することで、他の財やサービスの価格を押し上げる可能性がある。

航空運賃や食品価格

  その一例が航空運賃だ。4月は前月比2.8%上昇。ジェット燃料価格の急騰を受けて、航空会社が運賃や手荷物料金を引き上げ、供給能力を削減したことが背景にある。

  ブルームバーグの集計データによれば、住宅とエネルギーを除くサービス価格指数は0.5%上昇。ホテル宿泊費は2.8%上昇と、2024年以来の大きな伸びとなった。

  食品価格は0.7%上昇と、約4年ぶりの大きさ。肉や乳製品、生鮮野菜・果物が大きく上げた。

  食品価格はここ数年、生活の負担感を強める大きな要因となっており、11月の中間選挙を控え、米国民の景気認識にも影響を及ぼす可能性がある。

  CPI発表後にS&P500種株価指数は下落。米国債利回りは上昇を維持し、円は対ドルでの軟調が続いた。

家賃の特殊要因

  コアCPIの伸び加速には、昨年の政府閉鎖に伴い、統計処理上、家賃の伸びが大きくなったことも影響している。住居費は0.6%上昇と、2年半ぶりの大きさで伸びた。

  家賃は調査対象となる賃貸住宅のサンプル群(6つ)を6カ月ごとに順繰りに調べ、6カ月前の家賃と比較して算出している。ただ、半年前に当たる2025年10月は政府閉鎖に伴い、家賃データを収集できなかったため、発表元の労働統計局(BLS)は10月のデータを同年4月のデータと同じものにした。

  その結果、26年4月のデータは25年10月ではなく、25年4月と比較する格好となったため、家賃上昇率の前月比は通常のおよそ2倍の大きさとなった。

  ブルームバーグ・エコノミクスのアナ・ウォン、トロイ・デュリー両氏は「消費者はガソリン価格の上昇に対応するため、他の支出を抑制している。一方、企業には値上げを行うだけの十分な価格決定力がない。その結果、コアCPIには鈍化の兆しが見られており、今後6カ月のCPI動向を見る上では、こちらの方がより重要なシグナルだと考えている」と述べた。

  食品とエネルギーを除くコア財価格は、新車価格の下落を背景に横ばいとなった。関税の影響を受けやすい衣料品や玩具などは、3月より緩やかな伸びにとどまった。中古車は横ばいだった。

  統計の詳細はをご覧ください。

原題:US Inflation Accelerates as Gas, Rent and Food Prices Climb (3)(抜粋)