5月21日以降、イラン情勢およびペルシャ湾・ホルムズ海峡をめぐる地政学リスクは、「外交的な最終合意」か「軍事衝突の再燃」かという、極めて緊迫した過渡期(デッドライン)を迎えています。

特に21日・22日朝にかけて、マーケットや世界のサプライチェーンを揺るがす重要な動きがいくつか表面化しています。主なポイントを3つに整理しました。


## 1. トランプ米大統領「対イラン交渉は最終段階」と発言

米国のトランプ大統領は5月20日(米国時間)、記者団に対し、イランとの外交交渉が「最終段階(最終局面)にある」との認識を示しました。 イラン側はパキスタンなどを仲介役として、30日以内の全面停戦や米軍の周辺水域からの撤退、海上封鎖の解除などを盛り込んだ強硬な「14ポイントの最終交渉案」を提示しており、米国がこれにどう応じるか、5月22日〜26日頃が大きな外交上の節目(デッドライン)になると見られています。

## 2. ホルムズ海峡に「管理海域」を一方的に設定(通航料の徴収へ)

外交交渉が進む一方で、現場の緊張を跳ね上げる動きが起きています。 イランが新設した海峡通航管理機関「ペルシャ湾海峡庁(PGSA)」は5月21日、ホルムズ海峡周辺の約2万2,000平方キロメートルを「管理海域」に指定すると一方的に宣言しました。 イランは通過する商船に対して高額な「通航料(手数料)」を課す制度の合法化を進めていますが、米国側はこれを法的に承認しておらず、「通航料の支払いは米国の制裁(OFAC制裁)対象になる」として強く警告しています。核問題と並ぶ新たな対立のレッドラインと化しています。

## 3. 海峡の通航量は「戦前の2割未満」に激減、原油市場は一触即発

中東情勢の悪化以降、ホルムズ海峡を通過する船舶の数は1日当たり平均数隻レベルにまで激減しており、戦前の2割未満という異常事態が続いています。ペルシャ湾内には依然として多数の商船が滞留しているとされています。 原油市場(WTIやブレント原油)は、この数日間のトランプ氏の態度やイラン革命防衛隊のヘッドライン一つで、「合意成立なら原油急落、決裂・攻撃再開なら一気に130〜150ドルへ暴騰」という極端なボラティリティ(価格変動リスク)を孕んだ、一触即発の局面にあります。


【補足(中露会談との連動)】 昨日お伝えした「中露首脳会談」でも、習近平主席とプーチン大統領がイラン情勢を念頭に中東での全面停戦を求める声明を出しており、国際社会の主要プレイヤーが一斉にイランを巡るボードゲームに参戦している状況です。