
[ドバイ/カイロ 1日 ロイター] – トランプ米大統領は1日、レバノンの親イラン武装組織ヒズボラと仲介者を通して協議し、イスラエルに対する攻撃を停止する確約を取り付けたと明らかにした。トランプ氏はイスラエルのネタニヤフ首相とも電話会談を実施。イスラエルがレバノン南部への攻撃を準備していた部隊を撤収させることで合意したと述べ、イラン国営メディアが米国とイランの停戦崩壊の可能性を示唆する中でも、停戦が維持される可能性があるとの観測が出ている。
この日は、イスラエルのネタニヤフ首相がレバノンの首都ベイルート南部郊外のヒズボラ拠点を攻撃するよう軍に命令。これに先立ち、イスラエル軍はレバノン南部の要衝ボーフォート城跡を掌握しており、ネタニヤフ首相は前日、ヒズボラ掃討に向け、「レバノンでの地上作戦を拡大するよう軍に指示した」と表明していた。
こうした中、イランのタスニム通信は1日、イスラエルによるレバノンの親イラン武装組織ヒズボラに対する攻撃を巡り、イランの交渉チームは仲介者を通した米国との協議を停止していると報道。レバノンのほか、パレスチ自治区ガザでのイスラエルの軍事行動停止を巡るイランの要求が満たされるまでいかなる協議も行われないと伝えたほか、このほか、イラン、イエメン、レバノン、イラクのシーア派同盟勢力を含む「抵抗の枢軸」がホルムズ海峡の完全な封鎖のほか、バブ・エル・マンデブ海峡を含む他の戦線の活性化を柱とする方針を設定したと報じた。
イラン外務省も、米国はイランとの停戦違反のほか、イスラエルによるレバノンでの停戦違反の双方に直接責任があるとし、いずれかの戦線での停戦違反は全ての戦線での停戦違反に相当すると非難した。
ただトランプ米大統領は、イランから米国との協議を中断するという話は聞いていないとし、イランとの協議は「急速なペース」で継続していると言及。自身の交流サイト(SNS)「トゥルース・ソーシャル」への投稿で、ヒズボラとイスラエルの双方と協議を行い、攻撃停止の確約を取り付けたと明らかにした。
トランプ氏は、 ネタニヤフ首相と「非常に実りある電話会談を行った」と明らかにした上で、「(レバノンの首都)ベイルートに軍隊は派遣されない。派遣予定だった部隊はすでに引き返している」と述べた。さらに、ヒズボラとも「非常に有意義なやり取りを行った」とし、ヒズボラが「全ての銃撃を停止することに同意した」と明らかにした。
米国はヒズボラを「テロ組織」に指定しており、米国の大統領がヒズボラと接触したのは今回が初めてとみられる。
米首都ワシントンにあるレバノン大使館はその後、ヒズボラがイスラエルとの敵対行為を相互に停止するという米国の提案を受け入れ、その適用範囲をレバノン全土に拡大することに同意したとする声明を発表。イスラエルがレバノンの首都ベイルート南部郊外への攻撃を取りやめ、その見返りとしてヒズボラがイスラエルへの攻撃を停止すると明らかにした。
ただネタニヤフ氏は、ヒズボラがイスラエルの都市への攻撃を停止しなければ、イスラエルはベイルートの「テロ」標的を攻撃するとトランプ大統領に伝えたと表明。「イスラエル国防軍は予定通りレバノン南部で作戦を継続する」と言明するなど、イスラエルとヒズボラの停戦の行方はなお不透明な部分が残っている。
イラン国営メディアによると、 イランの精鋭軍事組織「革命防衛隊」の海外作戦を担うコッズ部隊のエスマイル・カーニ司令官は、「抵抗の枢軸」と呼ばれるイランとその同盟勢力は、イスラエルによるレバノンとガザ地区での軍事作戦を受け、バブ・エル・マンデブ海峡でもホルムズ海峡と同様の状況を作り出す可能性があると警告した。「抵抗の枢軸」の一角、イエメンの親イラン武装組織フーシ派が新たな戦線を開く場合、紅海の出入り口にあり、スエズ運河に向かう船舶が航行する海上輸送の要衝であるバブ・エル・マンデブ海峡が主な標的の一つになるとみられている。