▽NY市場サマリー(9日)ドル下落、利回り低下 ナスダック・S&P反落<ロイター日本語版>2026年6月10日午前 7:44 GMT+9

<為替> ドルが円やユーロなどの主要通貨に対して下落した。イスラエルとイランが不安定ながらも停戦を維持する中、市場の注目は週後半に発表される米経済指標に集まっている。イランとイスラエルは8日、トランプ米大統領の要請を受けて相互への攻撃を停止したと表明。ただ、イランはイスラエルがレバノンで親イラン武装組織ヒズボラに対する攻撃を続ければ戦闘を再開すると警告していたほか、イスラエルはこの日、レバノン南部の都市ティールを攻撃。米国とイランの戦闘停止に向けた協議は一段と複雑になっている。

米国は他の主要国・地域​と比べエネルギー価格ショックの影響を受けにくいとみられていることから、中東情勢が緊迫する局面では、安全資産としてのドルの需要が支えられる傾向がある。一方、中東情勢の緊張が和らぐ局面では、ドルは主要通貨に対して軟化する傾向‌がある。この日はホルムズ海峡に近いオマーン沖で墜落した米陸軍のアパッチ攻撃ヘリコプターについて、トランプ米大統領はイランが撃墜したとして報復を示唆。トランプ氏の発言を受けドルに買いが入り、ドルは主要通貨に対する下げ幅を縮小した。

クラリティFXのエクゼクティブ・ディレクター、アモ・サホタ氏は「イラン情勢を巡り、市場では奇妙な落ち着きが広がっている」と指摘。「双方とも大幅な情勢悪化は回避しようとしている。特にトランプ大統領は原油価格の急騰を避けたい考えで、かなりの圧力にさらされている」と述べた。

市場は主要中央銀行の政策決定会合にも注目。欧州中央銀行(ECB)は11日に開く理事会で0.25%ポイントの利上げを決定すると広く予想されており、市場では今後の金融政策の方​向性の手掛かりが示されるか注目されている。

日銀は15─16日に開く金融政策決定会合で利上げを決定するとの見方もほぼ完全に市場に織り込まれており、このため、実際に利上げが実施されても、それだけで円安基調が大きく反転する可能性は低いとみられている。円は対ドルで160.37円まで下落。​政府・日銀による為替介入が警戒される160円近辺での動きが続いている。

ユーロ/ドル は0.07%高の1.15435ドル。前日は約2カ月ぶり安値を付けていた。

主要通貨に対するドル指数は0.09%安の99.95。前日は100.21に上昇し、4月6日以来の高値を付けていた。

<債券> 国債利回りが低下した。10日に⁠発表される米国の5月の消費者物価指数(CPI)が注目されている。ただ、ホルムズ海峡に近いオマーン沖で墜落した米陸軍のアパッチ攻撃ヘリコプターについて、トランプ米大統領がイランが撃墜したとして報復を示唆したことを受け、利回りが上昇する場面もあった。

米労働省が先週発表した5月の雇用統計は​予想以上に堅調で、連邦準備理事会(FRB)による利上げ観測が高まった。こうした中、インフレ圧力が強まり続けているか見極めようと、市場は5月のCPIに注目。前月比では物価上昇圧力が鈍化する一方、前年比では加速が見込まれており、総合指数の上昇率は前年比4.2%、食品とエネルギーを除くコア指​数は前年比2.9%と予想されている。

TDセキュリティーズの米金利戦略責任者、ゲンナディー・ゴールドバーグ氏は「インフレ指標が強く、連邦準備理事会(FRB)は利上げを余儀なくされるとの見方が強まっている」と指摘。ただ、イランとの対立が解決に向かうとの楽観的な見方でインフレ懸念が一部和らげられ、安全資産と見なされる米国債の需要を支援。ゴールドバーグ氏は「新たな材料に欠ける中でも、米国債に買いが入っている」と述べた。

財務省は今週、総額1190億ドルの国債入札を実施。約1カ月前に国債相場が急落し、財政見通しの悪化を背景に投資家が米国債に慎重姿勢を強めているとの懸念が出る中、特に長期債の需要動向が注目されている。財務省がこの日に実施した580億ドルの3年債入札はおおむね堅​調。応札倍率は2.64倍と、4月以来の高水準だった。

終盤の取引で2年債利回りは3.1ベーシスポイント(bp)低下の4.127%。10年債利回りは1.8bp低下の4.532%。

2年債と10年債の利回り格差は40.4bpに拡大した。

<株式> ナスダック総合とS&P総合500種が反落した。ハイテク株の反発が失速したことに加え、トランプ米大統領がイランによる米軍ヘリ撃墜に米国は「対応しなけ​ればならない」と表明したことが投資家心理を圧迫した。トランプ氏は9日、イラン軍がホルムズ海峡パトロール中の米軍ヘリコプターを撃墜したと確認し、報復する意向を示した。これを受けて中東紛争の停戦見通しに対する疑念が一段と強まった。nL6N42H11Z

投資家の不安心理を示すシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー・‌インデックス(恐怖指⁠数、VIX)(.VIX), opens new tabは取引時間中に4月7日以来の高水準を付けた。

ハイテク株は前日に反発していたものの、前週末の売りが再開した。S&P500の情報技術指数(.SPLRCT), opens new tabは一時4%超下落した後、下げ幅を縮小した。フィラデルフィア半導体指数(.SOX), opens new tabは序盤に3%上昇した後、一時8.6%下落した。情報技術指数は1.8%安、フィラデルフィア半導体指数は1.9%安で取引を終えた。

ジョーンズトレーディングのチーフマーケットストラテジスト、マイケル・オルーク氏は「今朝の反発が一巡すると、より広範に売りが出た。物色対象の入れ替えも進んでおり、モメンタムの巻き戻しという側面もある」と述べた。また、トランプ氏の投稿も一時的に「相場をさらに一段押し下げた」と指摘した。イランとイスラエルは8日、相互の攻撃を停止すると表明し、戦争を巡る緊張が和らぐとの期待が高まっていた。優良株で構成するダウ工業株30種は上昇して取引を終えた。

ラッセル1000バリュー株指数(.RLV), opens new tabは0.4%上昇し、0.7%下落した同グロース株指数(.RLG), opens new tabをアウトパフォームした。投資家は今週発表される物価統計や注目度の高いスペースXの新規株式公開(IPO)を前に警戒している可能性が​ある。

10日に発表される5月の消費者物価指数(CPI)は、イラン戦争に伴うエネルギー価​格の上昇がインフレに及ぼす影響に関する新たな手掛かりを示す可⁠能性がある。

12日のスペースXの上場も、高成長ハイテク株の過熱感を投資家が懸念する中で、米国株の重しとなる可能性がある。アージェント・キャピタル・マネジメントのポートフォリオマネジャー、ジェド・エラーブルック氏は「今回のIPOは規模が桁違いだ。国内の全ての運用会社がスペースXについて議論し、検討している。仮に投資しないと決めた会社であっても、ニュースを読み、新たな契約発表をチェックしている。イーロン・マスク氏の話題はどこにでもあ​り、避けては通れない」と指摘。「12日の取引が荒れることは誰もが分かっている。大きなボラティリティーが生じるだろう」と語った。半導体大手ブロードコム(AVGO.O), opens new tabは1.1%安、エヌビディア(NVDA.O), opens new tabは0.2%安だった。

<金先物> FRBの利上げ観測が強ま​る中、主要市場の売りが広がり、金相場は下⁠落した。中心限月8月物の清算値は前日比1.8%安の1オンス=4286.40ドルとなった。

<米原油先物> 米国時間の原油先物は約3%下落し、約7週間ぶりの安値を付けた。イランとイスラエルが前日、トランプ米大統領の呼びかけを受けて相互への攻撃を停止したことで、中東情勢を巡る警戒感が後退している。ただ、この日にホルムズ海峡に近いオマーン沖で墜落した米陸軍のアパッチ攻撃ヘリコプターについて、トランプ氏がイランが撃墜したとして報復を示唆したことを受け、原油先物は下げ幅を縮小した。清算値は、北海ブレント先物が2.80ドル(3.0%)安の1バレル=91.45ドル、米WTI先物が3.10ドル(3.4%)安の88.20ドル。北海ブレントは4月17日以来、米WTIは5月29日以来の安値となる。また、北海ブレントの清算値がテクニカル分析で支持線と⁠される100日移動平均線を下​回るのは1月以来初めて。エネルギー市場調査会社リッターブッシュ・アンド・アソシエーツのアナリストは「イスラエルとイランの相互に対する攻撃が沈静化しつつあることに加​え、トランプ大統領がイランとの戦闘停止を巡る合意が2─3日以内に実現する可能性があるとの見方を示し続けていることで、原油先物は値を下げている」としている。この日はまたライト米エネルギー長官が、ホルムズ海峡の船舶の通航は1─2週間前と比べ「顕著に」増加していると指摘。今後も増え続けるとの見通しを示した。