折田唯

 政府が消費税減税などの財源に当て込む租税特別措置(租特)や補助金の見直しの行方が不透明になっている。各府省庁の自己点検の結果では、租特で対象となった約120項目のうち廃止の方向性を示したのは1件にとどまった。年末に向けて財務省と府省庁との攻防が激しくなりそうだ。(折田唯、向山拓)

財務相不満

 片山財務相は7日の記者会見で「(租特の点検結果は)現時点で満足がいくものではない」と不満を漏らした。

 政府は昨年11月、政策効果の低い制度の見直しに向け、内閣官房に「租税特別措置・補助金見直し担当室」を設置。片山氏が担当閣僚を務め、各府省庁に対し、自己点検の結果を6月下旬をめどに公表するよう求めていた。

 9府省庁は租特について計約120項目の点検結果を公表したが、廃止の方向性で検討されているのは、事業再編に伴う登録免許税の軽減措置の1件のみだった。合併や事業譲渡時に発生するコストを軽減する狙いで設けられた制度だが、活用実績は創設後2年間で0件だった。経済産業省は「制度の終了が相当」との見通しを示した。

 一方、多くの項目では制度の重要性を強調したり、見直しの方向性を曖昧な表現にとどめたりするケースが目立った。

 中小企業の法人税率を軽減する措置は、租特による効果として見込んでいた水準まで対象企業の売上高が伸びていない。だが経産省は、減税が企業の資金繰りの安定化につながっていると評価し、「政策効果を高める観点からメリハリをつけた見直しを行う」とした。

 結婚や子育てなどの資金を子どもや孫に一括贈与する際に贈与税を非課税とする措置は、今年度末が適用期限で、利用件数は年間200件程度と低迷している。こども家庭庁は「利用増加は見込みがたい」と認めつつも、制度の廃止までは踏み込まなかった。

踏み込み不足

 一方、補助金の執行について、18府省庁が公表した行政事業レビューでは外部有識者から厳しい指摘が相次いだ。

 こども家庭庁が、結婚や子育てに関する地方自治体の取り組みを支援する事業に対しては、効果の検証が不十分だとした上で「本事業の継続は認められない」と指摘した。中小企業の設備投資や事業転換を促す経産省の補助事業には「(支援が)必要な範囲に限定されているか、不断に検討すべき」との意見があった。

 今年1~2月に実施した国民からの意見募集でも、「補助金依存から脱却すべき」「(租特は)期限到来時にゼロベースで見直すべき」などと厳しい意見が相次いでいたが、各府省庁の自己点検結果は踏み込み不足が否めない。

議論本格化

 高市政権は、代替財源を必要とする政策を相次いで打ち出しており、「無駄」の削減が欠かせない。

 ガソリンなどの暫定税率廃止と高校授業料などの実質無償化では、年計2・2兆円が必要となる。現在検討されている来年4月からの食料品の消費税率1%引き下げを実施する場合、中低所得者への給付と合わせて約5兆円の確保が求められる。

 租特や補助金の見直しは、年末の予算編成や税制の見直しに向けて議論が本格化する。片山氏は各府省庁に対し、「(予算や税制の)要求や要望段階から見直しをやっていただけなければ困る」と苦言を呈しており、厳しく査定にあたる構えだ。