
[ワシントン 9日 ロイター] – トランプ米大統領は9日、ロシアのプーチン大統領と電話会談を行い、ロシアが米国と世界市場にディーゼル(軽油)を供給することで合意したと発表した。燃料価格の引き下げを狙った措置で、米政権はウクライナ戦争の戦費となるロシアの収入源を断つことを目的に科していた対ロ石油燃料制裁を一時解除した。
農業、暖房、トラック輸送に使われるディーゼル価格は過去最高値付近にあり、中間選挙を控える与党共和党にとってリスクとなっている。合意発表後にディーゼル価格は下落したが、アナリストは今回の合意だけでは価格抑え込みには不十分である可能性指摘している。
トランプ氏は交流サイト(SNS)「トゥルース・ソーシャル」で、プーチン大統領との「極めて成功した」協議の結果、ロシアが米国と世界市場に対してでディーゼル30万トン超(約225万バレルに相当)を直ちに供給することで合意したと明らかにした。米国のディーゼル輸出量は日量約150万バレル。
電話会談後、プーチン大統領の特使キリル・ドミトリエフ氏はXへの投稿でロシアと米国の協力を称賛した。関係筋によると、ドミトリエフ氏は先月のワシントン訪問の際、米政府高官にロシアの主要石油会社全てに米市場向けディーゼル輸出のライセンスを付与するよう求めていた。
米国は2025年10月、2022年に始まったウクライナ戦争を巡りロシアの石油会社に制裁を科した。今回のディーゼル輸出は、プーチン大統領によるウクライナとの戦争継続を支え得る数十億ドル規模の収入をロシアにもたらす可能性がある。
ウクライナのゼレンスキー大統領は、ウクライナ代表団が戦争終結の方策を協議するため訪米している最中に発表された今回の合意を、「強い立場にあるパートナーが下した弱腰な決定」と批判。
Xに「プーチン氏への贈り物は、平和も、文明世界へのいかなる利益ももたらさない。ロシアはディーゼルの『見返り』に、さらなるテロと背信行為で応じるだろう」と投稿した。
今回の合意に対しては、共和党のドン・ベーコン下院議員ら米議員からも批判が出ている。ベーコン氏は、議会が最近可決した制裁をさらに適用すべき時であり、措置を解除する時ではないと主張した。
米財務省は、ロシア産ディーゼルの輸入を2027年4月7日まで認めるライセンスを発行した。
トランプ氏によると、ロシアは11月にさらに50万トン、「その直後」にさらに100万トンを供給する。トランプ氏は、ウクライナの攻撃で損傷を受けたロシアの「製油所の状況次第で」、それ以上の供給も続く見込みだと述べた。
アナリストは、今回の合意が持続的な燃料価格の下落につながる可能性は低いとみている。原油市場リサーチャーのロリー・ジョンストン氏はXに「これがいかに大したことない話かいくら強調しても足りない」と投稿し、ロシアは製油所が攻撃を受けていない時は合意に含まれる量をはるかに上回るディーゼルを通常輸出していると指摘した。