• 6月15日までに最終品目リストを発表、その後すぐに発動
  • 中国の対米投資への新たな制限案などを6月30日までに発表
Photographer: Qilai Shen/Bloomberg

トランプ米大統領は29日、中国からの輸入品500億ドル(約5兆4500億円)相当に制裁関税を課す計画を推し進めると表明した。また重要な技術への中国投資を制限する計画も前進させるとした。次回の米中通商協議を前に中国への圧力を強めた。

ホワイトハウスは29日の発表資料で、関税対象品目の最終リストを6月15日までに発表し、「その後すぐに」発動すると説明した。トランプ政権が対中関税発動の日程をこれほど具体的に示したのは初めて。

さらに、中国による対米投資の新たな制限案と、輸出規制強化案を6月30日までに発表し、その後間もなく施行することも明らかにした。中国商務省は数時間後に声明を発表。米国の発表は予期していなかったとし、中国として自国の利益を守ることは可能だと引き続き確信していると表明した。

過去数カ月間にわたり金融市場の混乱を引き起こし、貿易戦争に発展させないよう国際通貨基金(IMF)が警告した米中貿易摩擦は新たな展開を迎えた。ロス米商務長官は6月2-4日に訪中し、3回目の通商協議を北京で行う予定。この日の発表により、同協議の重要性は高まることとなった。

対中関税を巡っては、最終的に米消費者の負担が増すほか、中国が報復関税を導入すれば米国の農業や他の輸出業者が打撃を受けるとして実業界のリーダーや一部議員から反対の声が上がっている。

小売事業者経営者協会(RILA)は声明で、「トランプ政権からの相反するメッセージは、米経済成長と国内の雇用創出に集中して取り組む米企業に苦痛をもたらしている」と指摘。「われわれは中国に問題行動の責任を取らせるという米政権の決定を支持するが、小売業者として、世界的な貿易戦争が勃発すれば犠牲者が生じると確信している」と述べた。

ホワイトハウスはこのほか、知的財産を巡る中国の慣行に対し米国が世界貿易機関(WTO)に提起した訴訟を継続する方針も示した。

原題:Trump Ratchets Up Pressure on China With Swerve on Tariff Plans(抜粋)