日銀は15日の金融政策決定会合で、短期金利をマイナス0.1%、長期金利を0%程度に誘導する大規模金融緩和策の維持を賛成多数で決めた。物価上昇率は目標の2%に程遠く、粘り強い緩和継続が必要と判断した。米欧に比べ、金融政策の正常化の遅れが鮮明となった。

会合後に発表された声明は、景気認識を「緩やかに拡大している」に据え置いた。物価の現状については、足元の上昇鈍化を踏まえ、前回の「1%程度」から「0%台後半」に修正した。先行きは、2%の目標に向けて上昇率を高めるとの見通しを維持した。リスク要因としては、トランプ米政権の保護主義的な通商政策や北朝鮮情勢などを念頭に、米国の政策運営、地政学的リスクなどを挙げた。片岡剛士審議委員は緩和強化を求め、政策の現状維持に反対した。

米欧では米連邦準備制度理事会(FRB)が追加利上げを決定、欧州中央銀行(ECB)は年内の量的緩和終了を決めるなど金融政策の正常化が進む。一方、日本では4月の全国消費者物価指数(生鮮食品除く)が0.7%の上昇にとどまり、緩和策の出口は見通せない状況だ。