モスクワでは9日、北朝鮮とロシア、中国の3カ国が外務次官級の協議を開いた。北朝鮮には中ロの「後ろ盾」を得て米朝交渉を有利に進め、中ロには米国を牽制(けんせい)する狙いがありそうだ。米国務省のビーガン北朝鮮政策特別代表と北朝鮮の崔善姫(チェソンヒ)外務次官は、早ければ15日にもウィーンで協議を始める見通し。米朝再会談をめぐる外交が活発に展開されている。
この米朝関係筋によると、正恩氏はポンペオ氏との会談で、5月に爆破した豊渓里(プンゲリ)核実験場に米国の査察団を受け入れることを提案。すでに表明した寧辺(ヨンビョン)核施設の廃棄についても、兵器用プルトニウム生産施設だけでなく、ウラン濃縮施設も含めた全施設が廃棄の対象だと語ったという。非核化の努力を米国に強調する思惑だとみられる。
正恩氏は、終戦を宣言しても、在韓米軍撤退や国連軍司令部の解体を求めることはないとの考えを伝えたという。一方、終戦宣言を得るために、米国が求める非核化対象リストを提出することはありえないとも主張したとされる。米国側は、現時点での非核化措置では終戦宣言に見合わないとの考えを伝えたという。
これまでも米国は、非核化の対象リストや行程表を北朝鮮が出さないかぎり、終戦宣言は難しいとの立場だった。このため韓国側が、北朝鮮が実行する意思を示した非核化措置の見返りに、実質的な米国の連絡事務所を平壌に置く妥協案を北朝鮮に提案したとされる。ポンペオ氏との会談で北朝鮮は終戦宣言に改めてこだわりをみせたため、妥協案を議論するまでには至らなかったという。
会談の大半は、終戦宣言と、それに見合う非核化措置の問題に費やされたとされる。米朝首脳の再会談の時期と場所について具体的な議論までは進まなかったとみられる。(ソウル=牧野愛博)