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  • 岡口裁判官を最高裁が戒告処分 SNS発信での懲戒は初<asahi.com>2018年10月17日18時46分

岡口裁判官を最高裁が戒告処分 SNS発信での懲戒は初<asahi.com>2018年10月17日18時46分

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 ツイッターで裁判の当事者の感情を傷つけたとして懲戒を申し立てられた東京高裁の岡口基一裁判官(52)に対する「分限裁判」で、最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)は17日、岡口氏を戒告処分とした。ツイッターに投稿した内容が、裁判所法が定める「品位を辱める行状」にあたると判断した。SNSでの発信を理由に裁判官が懲戒処分を受けるのは初めて。

最高裁の裁判官15人のうち、高裁長官時代に岡口氏を厳重注意した戸倉三郎裁判官をのぞく14人が審理に参加した。全員が一致で「戒告が相当」だと判断した。

問題とされたのは5月のツイート。岡口氏は拾われた犬の所有権が元の飼い主と拾った人のどちらにあるかが争われた裁判をめぐり、「公園に放置された犬を保護したら、元の飼い主が名乗り出て『返して下さい』 え?あなた?この犬を捨てたんでしょ?3か月も放置しながら」などと投稿した。

高裁は「揶揄(やゆ)するような表現で当事者を一方的に批判し、傷つけた」と判断し、7月に最高裁に懲戒を申し立てた。岡口氏は9月に開かれた分限裁判の審問手続きで「懲戒権を発動すれば表現の自由を侵害し、裁判官の独立をも脅かす」と反論していた。

岡口氏は実名でツイートする珍しい裁判官として知られ、判例など司法関連の話題を積極的に投稿してきた。一方で過去に2度、高裁から投稿内容を注意されていた。(岡本玄)

ログイン前の続き裁判官の懲戒処分・決定理由の要旨

ツイートをめぐって東京高裁の岡口基一裁判官(52)を戒告とした、17日の最高裁大法廷決定の理由の要旨は次の通り。

【品位を辱める行状について】

裁判所法49条の「品位を辱める行状」は、職務上の行為か私的な行為かを問わず、裁判官に対する国民の信頼を損ねたり、裁判の公正を疑わせたりするような言動をさす。

今回の投稿は、裁判官の職にあることが広く知られている状況で、担当外の訴訟について、内容を十分に検討した形跡を示さず、表面的な情報だけを掲げて、原告が訴えを提起したことが不当であるという一方的な評価を、不特定多数の人に公然と伝えたといえる。こうした行為は、裁判官が職務を行う際、表面的かつ一方的な情報や理解のみに基づき、予断をもって判断をするのではないかという疑念を国民に与える。

提訴を揶揄(やゆ)するともとれる表現ぶりも踏まえれば、提訴を一方的に不当とする認識や評価を示して訴訟関係者の感情を傷つけ、裁判官に対する国民の信頼を損ね、裁判の公正を疑わせるものだと言わざるを得ない。従って、裁判所法でいう「品位を辱める行状」にあたる。

憲法上の表現の自由の保障が裁判官にも及ぶのは当然だが、今回の投稿は表現の自由として裁判官に許される限度を逸脱している。懲戒の対象になることは明らかだ。

【結論】

岡口氏は今回の投稿をする前に、別の投稿によって裁判官の品位と裁判所に対する国民の信頼を傷つけたなどとして2度、厳重注意を受けている。2度目の厳重注意は、訴訟に関係した私人の感情を傷つけた点で今回と似ている。そのような経緯があるにもかかわらず、ツイートに及んだ行為は強く非難されるべきだ。

【山本庸幸、林景一、宮崎裕子各裁判官の補足意見】

2度目の厳重注意は、特定の性犯罪にかかわる判決について投稿し、今回以上に明白かつ著しく訴訟関係者の感情を傷つけた。それ自体で懲戒に値するとも考えるが、反省を踏まえて厳重注意にとどめたかと推察する。わずか2カ月あまりで訴訟関係者の感情を傷つける投稿を再びしたことはもはや宥恕(ゆうじょ)の余地はない。「the last straw」(我慢の限界を超えるたとえ)ともいうべきだ。

現役裁判官がツイッターにせよ何にせよ、SNSによって思うところを表現することは、憲法の保障する表現の自由によって保護されるべきであることは、言うまでもない。しかしながら、裁判官は職責上、品位を保持し、裁判については公正中立の立場で臨むことなどによって、国民の信頼を得ることが何よりも求められている。今回のように裁判官として広く知られている状況下で表現する場合、そのような国民の信頼を損なわないよう、内容や表現についてはとりわけ自己を律するべきだ。

そのような意味で一定の節度や限度はあるが、裁判官も自由な表現をすること自体は制限されていない。今回のような事例によって、一国民としての裁判官の発信が無用に萎縮することのないよう、念のため申し添える。

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