今朝のニュースでふと表題のタイトルが頭をよぎった。この2つの国に関するさしたる情報は持ち合わせていないが、米中の貿易摩擦が深刻化している中で世界中の経営者はいずれインドを意識せざるをえなくなるのでは、と思った。そんなのんきなことは言っていられないのかもしれない。インドも中国も経営者は当の昔から意識しているだろう。問題は世界の経営者が今後どう動くかだ。ロイターは昨日「アップル、インドでiPhone最上位機種を組み立てへ=関係筋」という記事を配信している。アップルはこれまでインドで「SE」や「6S」の組み立ては行っているが、最上位機種は実績がない。ロイターによると「アップルにとって組立工場を中国以外の地域に拡大することは必須となっている」とのこと。

これは米中の貿易戦争がインドに波及している証左だ。ロイター通信はちょっと前に「ベトナムが今月、鴻海が米中貿易摩擦の影響軽減に向けベトナムでの工場新設を検討している」と報じている。鴻海はアップルの部品を生産する主力会社の一つである。その会社が中国から工場の移転を計画しているという。世界の生産工場である中国の地位は必ずしも安泰ではなくなってきた。インド、ベトナムといえばどちらもアジアの大国である。米中の貿易戦争はアジア地域でのパワーバランスに大きな影響をもたらす。とりわけインドが世界の生産工場として名乗りをあげれば、さすがの中国も安閑とはしていられない。ロイターは「鴻海を通じてインドでiPhone生産を拡大することでアップルは米政府の通商政策リスクを回避できる」と、IT専門調査会社であるIDC幹部のコメントを引用している。中国離れはすでに始まっている。

反面、巨大市場である中国に進出する動きもある。ロイター通信は同じ日に「米テスラ、上海自由貿易区に金融リース子会社設立 中国進出加速へ」という記事を配信している。電気自動車(EV)の大手メーカーであるテスらが、中国進出を加速させるという話である。13億人という人口を抱える中国、自動車市場としてみればメーカーは中国を無視しては経営が成り立たない。まして環境対策として中国はEVを政府が後押ししている。テスラが中国進出を加速するのは当然の成り行きだろう。トランプ政権は企業に対して華為技術(ファーウェイ)と中興通訊(ZTE)製品の利用を禁止する大統領令を検討しているという。一方で中国は昨日、全世界で利用可能な独自の衛星測位システム「北斗」(中国版GPS)の運用を開始したと発表した。今朝の朝日新聞には米中がAI兵器の開発競争を繰り広げている実態がリポートされている。来年は米中にインドが絡みそうな気がする。(✳︎年内の「ジャーナル」はこれが最後です)