[ワシントン 3日 ロイター] – 国際通貨基金(IMF)は3日に公表した4月の世界経済見通し(WEO)で、米中通商戦争が激化すれば、両国から製造業部門の雇用が流出し、雇用が失われる恐れがあるとの見解を示した。ただ両国の総合的な貿易収支は変化しないとした。 

IMFは、米中間で取引される物品のすべてに掛けられる関税率が25%に引き上げられた場合、製造業生産はメキシコ、カナダ、東アジア地域に移転すると予想され、米中両国の製造業は「大幅な」損失を被ると指摘。こうした事態になれば、2018年半ばから続いている米中の関税導入の応酬が一段と激化するとの見方を示した。 

その上で、米中通商戦争が激化すれば、中国では電子産業を含む製造業部門、米国では農業部門が大きな打撃を受けるとし、「両国の大規模な産業部門で、雇用が大幅に失われる」と警告した。 

具体的には、米国の農業・輸送機器部門で1%の雇用が失われると予想。中国では家具、宝飾品などを含むが電子機器を除く製造業部門で5%の雇用が喪失するとの見方を示した。 

IMFはこのほか、ある国との貿易不均衡を関税導入により是正しようとしても、別の国との貿易収支に不均衡がシフトするに過ぎないため、貿易収支には総合的な影響は出ないとの見方を示した。 

例えば、米国の輸入全体に占める中国からの電子機器・機械類の割合は、関税措置を受け22.1%から11.5%に低下するが、同時に、他の国からの輸入の割合が上昇すると指摘。具体的には、東アジア諸国が15.6%から17.7%、メキシコが12.6%から14.6%、カナダが10.8%から12.3%にそれぞれ上昇するとの試算を示した。 

IMFは一部の国はこうした新たな動きから恩恵を受ける可能性があるとしながらも、大部分の国ではマクロ経済上の不確実性の高まりを受け状況が悪化する公算が大きいと警告した。