韓国をホワイト国から除外することを決めた昨日、日韓両国に米国を加えた政治家が様々な発言をした。極め付けは昨日の午後2時に行われた韓国の緊急閣議の冒頭で文在寅(ムンジェイン)大統領が行なった発言である。朝日デジタルによると「加害者である日本が、盗人たけだけしく、むしろ大きな声で騒ぐ状況は絶対に座視しない」と強い言葉で非難した。どこかで聞いたことのある表現だ。今年の2月、韓国の文喜相(ムン・ヒサン)国会議長が天皇の謝罪を要求して批判され、反批判として語った言葉だ。「謝罪する側が謝罪せず、私に謝罪しろとは何事か。盗人たけだけしい」と。文政権には韓国の左派勢力が結集している。「盗人たけだけしい」というのはひょっとすると韓国左派の常套句なのかという気もする。

これだけではない。緊急閣議の冒頭で文氏は数々の日本批判を繰り返している。今回の行為は「世界経済に大きな被害を及ぼす(日本の)利己的な迷惑行為」(中央日報日本語版)、「我々は二度と日本に負けない」(同)。緊急閣議のあと閣僚が今後の対処方針を発表したが、そこでも厳しい言葉が並んだ。「我々も日本をホワイト国から除外して対日輸出管理を強化する」(同)、「目には目を戦略で対応するということだ」(同)などなど。大統領の発言や日本に対する対抗策はいずれも韓国国内の世論を意識したものであり、不幸な事態を逆手にとって政権の求心力を維持しようとする文政権の意図は理解できないわけではない。政治なんて所詮そんなものだ。国民の利益より我が身の安全を守る。韓国が輸出管理の体制を強化するといえばすむ話なのに、問題を必要以上に大きくしている。

それにしても文在寅(ムンジェイン)大統領のワーディングのなんと汚いことか。北朝鮮の金正恩委員長と相通じるところがある。言葉の端はしに被害者意識が滲んでいる。「二度と負けない」と大統領は宣言するが、最初の敗北はいつのことだろうか。すぐには思い浮かばない。そして「盗人たけだけしい」の決まり文句。いやはや、何をどうすればいいのか。怒りでも憐れみでもない。永遠に離れることのない隣国に根付いている“被害者意識”の大きさ驚き、うんざりするのだ。これも日本人特有の感覚なのかもしれない。公平を期すためにいえば、韓国のメディアは「盗人たけだけしい」という表現を使っていない。詳しくは「文大統領の『盗人猛々しい』発言報道 韓国メディア日本語版では、どんな表現?」を見て欲しい。何れにしても文大統領の政治家としての資質に大きな?が付いた冒頭発言だった。