[30日 ロイター] – 米連邦準備理事会(FRB)は29─30日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を1.50─1.75%に25ベーシスポイ/ト(bp)引き下げることを8対2で決定した。 

利下げは予想通りで、前回9月に続き今年3回目。貿易戦争により米経済がリセッション(景気後退)に陥るのを防ぐ。ただFRBは、利下げを今後休止する可能性があることを示唆した。 

市場関係者のコメントは以下の通り。 

●米中合意締結なければ12月利下げ <ファースト・フランクリン・フィナンシャル・サービセズ(フロリダ州)の主任市場ストラテジスト、ブレット・ユーイング氏> 米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果は0.25%利下げで、先行きに関する文言もハト派的な内容だった。次回12月10ー11日のFOMC会合については、もし「第一段階」の米中通商合意締結が11月に実現しなければ、0.25%の追加利下げが行われ、反対に合意締結が実現すれば、指標内容に応じた対応が取られるだろう。 

●「適切に行動」削除に注目、サイクル半ばの調整終了の公算 <ステートストリート・グローバルアドバイザーズ(ボストン)の首席投資ストラテジスト、マイケル・アローン氏> 予想通りに25ベーシスポイント(bp)の利下げが決定された。市場では、FRBがこれまでは「適切に行動する」としていたところを、今回は状況を注視するとしたことが注目されている。「行動」の文言削除で、将来的な利下げの公算が小さくなったと受け止められている。ただ、個人的にはそうした意図があったか確信はできない。 
 (9月のFOMCで50bpの利下げを主張した)セントルイス地区連銀のブラード総裁が今回は反対票を投じなかったことも重要な点だ。これにより、少なくともブラード総裁はサイクル半ばの調整は終了に近いと考えていることが示された。 

●「保険」としての利下げ局面は終了 <CIBCキャピタル・マーケッツの北米為替戦略主任バイパン・ライ氏> 「保険」としての利下げ局面終了の可能性が示唆されたが、利下げサイクル終了の明白なシグナルは発せられなかった。われわれは声明上の文言変更をFRBが当面金利を据え置くシグナルと受け取ったが、依然不透明感は幾分漂う。 

●データ次第で対応、追加緩和余地も <フィエラ・キャピタル(ニューヨーク)のアセットアロケーション・マネジャー、キャンディス・バングサンド氏> 0.25%利下げは予想通りだった。声明では景気拡大を維持するために「適切に行動する」という文言が削除される一方、政策を巡って既定路線は設けず、まず今後の経済データを注視する姿勢が強調された。米連邦準備理事会(FRB)としてはデータ次第(data-dependent)で対応しつつ、正当化されれば追加緩和する余地も残すことで、タカ派とハト派のバランスを取ったといえる。 

●強気姿勢後押し、債券市場は悲観論すぎ <トールバッケン・キャピタル・アドバイザーズ(ニューヨーク)の最高経営責任者(CEO)、マイケル・パーベス氏> 米連邦公開市場委員会(FOMC)の決定は、債券市場よりも株式や信用市場の見方が正しかったことを裏付けている。債券市場はこれまでかなり悲観的な見方を示してきた。 
 FRBが指摘した非常に良好な経済状況は、朝方発表された国内総生産(GDP)統計でも裏付けられており、株式・信用市場の強気姿勢を後押しするものだ。債券市場は海外経済の低迷もあって、今年に入り異常に歪んだ動きとなっている。