[ワシントン 27日 ロイター] – 米商務省が27日発表した第3・四半期の実質国内総生産(GDP)改定値(季節調整済み)は年率換算で前期比2.1%増と、速報値の1.9%増から上方改定された。市場予想は1.9%増。在庫投資が予想以上に底堅かったほか、設備投資は落ち込みが緩むなど底入れの可能性を示唆した。 

一方、成長率は昨年の2.9%から確実に鈍化している。第2・四半期の伸びは2%止まりだったほか、今年前半も2.6%と、トランプ政権が目標に掲げる3%に届いていない。 

MUFG(ニューヨーク)の主任エコノミスト、クリス・ラプキー氏は「3%成長を達成するような活力は見当たらないが、一部の好転の兆し(グリーンシュート)は表れており、経済の下支えとして期待される」と述べた。 

所得面から経済活動を把握する国内総所得(GDI)は第3・四半期に2.4%増と、企業利益が減ったにもかかわらず第2・四半期の0.9%増から加速した。米S&P総合500種指数採用企業の利益に相当する、在庫評価・資本減耗調整を除く税引き後利益は0.6%(113億ドル)減少した。フェイスブックとグーグルの和解金が重しだった。第2・四半期は3.3%増だった。 

経済成長を見る上でより良い手法とされるGDPとGDIの平均は2.3%増と、第2・四半期の1.4%増から加速した。 

最近の統計では個人消費が鈍化したほか、設備投資の低迷が悪化しており、第4・四半期初めに景気が減速した兆しがある。 

米中貿易摩擦によって景況感が悪化し、設備投資は2四半期連続で縮小した。昨年の1兆5000億ドル規模の減税政策の効果が薄れていることも景気減速の一因だ。景気拡大は11年目に入っている。 

経済成長は第1・四半期の3.1%増から減速しているものの、住宅ローン金利の低下に伴い住宅市場が昨年の弱含みから持ち直しており、近いうちに景気後退入りするリスクは減った。米連邦準備理事会(FRB)は先月、今年3度目の利下げを決めた。7月に08年以来初めて利下げに踏み切って以降、金利を引き下げ続けてきたが、ここにきて利下げ休止を示唆した。 

米経済の3分の2以上を占める個人消費は速報値から改定なしの2.9%増。失業率は50年近くぶりの低水準にあり、個人消費を下支えしている。ただ、雇用の伸びの鈍化や消費者信頼感の低迷、賃金の伸び悩みを背景に個人消費の持続性に関して懐疑的な見方が出ている。 

設備投資は2.7%減と、速報値の3.0%減から上方改定された。ガスや石油の立坑・油井を含む住宅以外のインフラ投資の落ち込みが当初予想ほど大きくなかった。 

在庫は798億ドルと、速報値の690億ドルから上方改定された。