イギリス政府は最新鋭の空母「クイーン・エリザベス」を中心とする空母打撃群をインド太平洋地域に派遣し、日本、インド、韓国などに寄港すると発表しました。中国の急速な台頭で米中の対立が深まるなか、イギリスとしてもこの地域への関与を強めるねらいがあるとみられます。

イギリスのウォレス国防相は26日、議会で最新鋭の空母「クイーン・エリザベス」を中心とする空母打撃群を各国に派遣する計画について説明しました。

それによりますと、部隊は5月からおよそ7か月をかけて地中海からインド洋、太平洋へと航海して40か国以上を訪問し、インド太平洋地域では日本、インド、韓国、シンガポールなどに寄港する計画だということです。

ウォレス国防相は日本などへの寄港について「政治的な結び付きを強めることにもつながる」とする一方、中国に関しては「みずからの主張を強めているが、今回の派遣は中国に対抗するものではない」と述べました。

イギリスは3月公表した外交・安全保障の新たな方針でインド太平洋地域を重視する姿勢を示していて、空母の派遣には中国の急速な台頭で米中の対立が深まるなか、イギリスとしてもこの地域への関与を強めるねらいがあるとみられます。

イギリス海軍高官「インド太平洋地域 地政学的な重要性を増す」

イギリス海軍のイアン・ロウアー参謀長補佐はNHKのインタビューに対し「インド太平洋地域は地政学的な重要性を増していて、この地域には日本のような強力なパートナーもいる。クイーン・エリザベスの初めての派遣として自然な選択だ」と述べました。

そして「イギリスと日本は志を同じくする開かれた海洋貿易国だ。単に日本を訪問するだけでなく共同演習も行う」として、自衛隊と共同演習を実施し日本との安全保障上の連携を強化したいという考えを示しました。

また、中国をめぐっては「今回の空母の派遣は対立をあおるものではない。国際法にのっとったもので国益にかなうものだ」と述べました。

クイーン・エリザベスを中心とする空母打撃群の要員は3000人を超えるということで、派遣にあたってはワクチンの接種や感染防止のためのマスクの着用、定期的な検査の実施など感染対策を徹底するとしています。