[ワシントン 19日 ロイター] – 米連邦準備理事会(FRB)が19日に公表した4月27─28日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で、景気回復が急速なペースで継続していることを踏まえ、一部の政策担当者が金融政策の変更を検討し始める用意を示していたことが分かった。ただ、同FOMC後に発表された経済指標で状況が変化した可能性もある。

議事要旨によると、数人の参加者は「FOMCが設定する目標に向けて経済の急速な進展が継続すれば、今後ある時点の会合で、資産買い入れペースの調整を巡る討議を開始することが適切になる可能性がある」と指摘。量的緩和策と低金利政策の変更の可能性について、これまでで最も明確に言及された。

ただ、5月7日に労働省が発表した4月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比26万6000人増と、市場予想の97万8000人増を大幅に下回った。インフレ率は上向いているものの、FRBが目標に掲げる完全雇用の達成には程遠い。

議事要旨では、政策担当者が米経済はFRBが掲げる目標の達成には程遠いとの見解で一致し、現行の政策スタンスとガイダンスは引き続き適切と判断していたことも判明。4月の雇用統計で示唆された通り、現時点ではFRBが月額1200億ドルのペースで実施している債券買い入れの変更について討議するのは尚早であることが改めて示された。政策金利の引き上げを巡る討議は、さらにその先になる。

物価については、参加者「数人」が、FRBが状況を把握し適切な政策対応を打ち出す前に、インフレが「招かざる」水準に高まるリスクについて言及。労働市場については、「多くの」参加者が、失業率が高いにもかかわらず企業による人材の採用難に言及。FRB当局者は、新型コロナウイルスに対する警戒心や子育てを巡る問題のほか、失業手当の支給などが背景にある可能性があると指摘。議事要旨は「これらの要因で労働参加率がコロナ禍前と比べて低い水準に押し下げられている」とした。

このほか、少なくとも4月のFOMCの時点で数人の参加者が、昨年春にコロナ禍への対応として導入された支援策の縮小を考えていたことも判明。ただ、シティのエコノミスト、アンドリュー・ホーレンホースト氏とベロニカ・クラーク氏はその後に発表された経済指標を踏まえると、4月のFOMC議事要旨は「新鮮度に欠ける」と指摘。5月の雇用統計が力強いものになることを条件に、テーパリング(量的緩和の縮小)開始は12月になるとの見方を示した。