きのう発表されたコンファレンス・ボード(CB)の米消費者信頼感指数(6月)をみて思うのは、米国経済の力強さだ。それを支えているのは楽観的な消費者であり、特別給付金やトランプ政権時代の所得減税など、消費者向けの施策がここにきて効果を発揮している。6月の内訳は現況指数が157.7と、5月の148.7から大幅に上昇。期待指数は107.0、同100.9を上回った。全体では127.3と、パンデミックが始まる直前の2020年2月以来の高水準を付けた。なんだかんだ言っても消費者(=国民)に目が向いている米国の経済政策。これが米国経済の期待感や信頼感を押し上げている。衰えつつあるとはいえ、ここに米国の強さの一端があるような気がする。対する悲観の国・日本、米国の明るさを少し見習うべきだろう。

ロイターに掲載されているエコノミストの反応を拾ってみると面白い。CBのシニアディレクターであるリン・フランコ氏は次のように言う。「景気や、個人の経済状況が向こう数カ月間改善し続けるとの期待から消費者の短期的な楽観傾向が戻った」と。さらに民間エコノミストのルビーラ・ファルキー氏は「消費者の態度は、現在進行中の経済再開や今後の公衆衛生状態の改善を背景に、雇用や所得の増加を後押しするだろう」。気の早いエコノミストは「2日に発表される雇用統計で非農業部門の雇用者数は100万人増加する可能性がある」(民間エコノミストのクリス・ラプキー氏)とぶち上げる。これだけみるとエンジン全開といった雰囲気だ。誰も感染者数のなど気にしていない。前週比で10週連続増加と、悲観情報を前面に押し出す日本とは正反対の明るさである。

2日前にブルームバーグが「新型コロナ時代の安全な国ランキング」を発表している。採用する数値が少し変わっているが、これまで下位に低迷していた米国が一躍トップに躍り出た。このランキングのキーワードは正常化。ワクチン接種の進展具合や陸・海・空での越境の容易さなどの数値を新たに取り入れた。従来のキーワードは「閉鎖性」。海外からのウイルス流入阻止能力や、人流の遮断機能が高い国が上位にランキングされていた。閉鎖性から解放性に重点を移した途端に、米国が最も安全な国になったというわけだ。ポストコロナに向けてすでに正常化競争は始まっている。先陣を切って米国が大胆な経済戦争を仕掛けようとしている。28日現在、米国の感染者数は7日間平均で1万1842人(Google調べ)。同じ日に日本は同1503人(同)である。慎重で悲観的で内向きの日本。逆に大丈夫か、心配になる。