[ワシントン 16日 ロイター] – 米バイデン政権は16日、米企業に対し香港で事業を展開するリスクについて警告する文書を公表した。さらに、中国が香港の民主主義弾圧しているとして、同国政府の香港出先機関に勤務する政府高官7人を新たに制裁対象に追加すると発表した。

財務省によると、7人は中国の駐香港連絡弁公室の幹部。ブリンケン国務長官は声明で、中国当局は過去1年間にわたり香港の民主機関を「組織的に阻害」し、選挙を延期し、選挙で選ばれた議員の資格を奪い、政府の政策に反対する数千人の人々を逮捕したと指摘。「香港市民に対する断固とした支持を示すために、米国はきょう、明白なメッセージを送る」とした。

リスク警告の文書は国務省、財務省、商務省、国土安全保障省が共同で作成。香港で操業する企業に対し、「香港国家安全維持法」などの法律が適用される可能性があると警告した。同法律の下、米国人一人がすでに逮捕されている。

文書は、令状なしの電子的な監視の対象になり、当局に顧客データなどを提出せざるを得なくなるリスクがあると警告。制裁対象にされている個人や団体に関与すれば、米国などの諸外国の制裁措置に加担したとして、中国の報復措置の対象になる恐れがあるとも警告した。

バイデン政権高官は「昨年の香港を巡る一連の動きは、多国籍企業に対する運営、財務、法務、風評の面でのリスクが存在していることを明確に示している」と指摘。「中国政府と香港当局が導入した政策で、個人と企業が香港で自由に活動するために重要だった法的環境が阻害されている」とした。

米中ビジネス協議会(USCBC)のアナ・アシュトン氏は「香港に対する新たな措置が標的を絞ったものにとどまり、米国の政策が香港市民の不利益にならないことを望む」と述べた。