4日の北京冬季五輪の開会式で、新疆ウイグル自治区出身のウイグル族でノルディックスキー距離女子のジニゲル・イラムジャン選手が聖火リレーの最終走者を務めたことについて、中国外の専門家らの間から批判する声が上がっている。

ウイグル族女子選手が聖火点灯 弾圧否定に狙いか―北京五輪

 北京五輪では、米国などが同自治区でのウイグル族らへの人権侵害を理由に「外交ボイコット」を展開。イラムジャン選手の起用に関しては、弾圧を否定する中国側の狙いがあるとの見方が浮上している。

 米国でウイグル問題を告発している弁護士ライハン・アサット氏はUSAトゥデー紙の取材に「ジェノサイド(集団虐殺)をごまかすための周到な試みだ」と非難。開会式を中継したNBCテレビのキャスターは「とても挑発的だ」とコメントし、人権抑圧を難じる米欧に対する中国の習近平国家主席の返答だと紹介した。

 国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチで中国を担当する研究員は、ワシントン・ポスト紙に「世界に侮辱のサインを送り、『何を言われようと気にしない』と告げているようなものだ」と語った。

 20歳のイラムジャン選手は、5日のノルディックスキー距離の女子15キロ複合に出場したものの、43位に終わった。2008年北京夏季五輪の聖火リレー最終走者は、1984年ロサンゼルス五輪体操男子金メダリストの李寧氏だった。(時事)